『溺れる人魚たち』ジュリー・オリンジャー/川副智子訳(ランダムハウス講談社文庫)★★★★☆

 『How to Breathe Underwater』Julie Orringer,2003年。

 ランダムハウス講談社はいまだに出す本のカラーがよくわからないので、読むのは書評を参考にすることが多くなります。これは山崎まどか氏のブログだったかな。訳者あとがきにも「正統派ガーリッシュ」とか書かれています。う〜ん。。。そりゃあ少女の話ではあるんだけど、こんな紹介のされ方をしたのでは、届く人には届くんでしょうが、ヒク人はヒクだろうと思うんだけど。。。

 でも「事故でただ一人生き残った妹と、同じ事故で恋人を亡くしてしまった兄。妹を許せない兄と、自分を許せない妹との間に生じた“罪と罰”」という表題作(じゃなかった。第一話)「イザベル・フィッシュ」を読めばわかるとおり、別にガーリー・オンリーな話ではありません。

 そりゃあ確かに、恋人の前で「いきがる」というか「悪ぶる」というか、そういうのは姉じゃなくて兄じゃなきゃ駄目なような気はするし、魚が好きで飼っている魚を科学者のように観察する少女なんかも、少女だからこそエキセントリックで魅力的なんであって、少年だったらただのオタクのような気もする。自分の身体のことを気にしてるところなんかは、やっぱり大人の女でも男の子でもなく女の子じゃなきゃ駄目だろうな、とも思う。傷跡のある二人の女の子、なんて、ものすごく現代アメリカ的。

 ほかの作品になると、もっと女の子チックなアイテムが増えたりもする。

 でも苦しいときなんて男にも女にも子どもにも大人にもあるんだから。これをガーリーとは呼びたくないぞ。
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