『アルベール・カミュ1 カリギュラ』アルベール・カミュ/岩切正一郎訳(ハヤカワ演劇文庫18)★★★★★

 『Caligula』Albert Camus,1958年。

 確かに傑作ではあるのだけれど、こういうのが若い人に今売れる、というのが時代の危うさを感じて嫌である。「カリギュラへの批判的な視点」を読み取らずに、字面だけ都合よく解釈するような人たちが、やれ革命だやれ不条理だと言い出すのだ。過去も現在も未来も。

 そりゃあ『異邦人』を読んで、お金のために人を殺したのなら安心するくせに「太陽のせい」だったら憎悪する世間に対し、大人への反抗だと感じて「かっこいい」と思うことだってある。あるけどさ。

 “不可能! おれはそれを世界の涯てまで探しに行った。おれ自身の果てまで”。ローマ帝国の若き皇帝カリギュラは、最愛の妹ドリュジラの急死を境に、狂気の暴君へと変貌した。市民の財産相続権の剥奪と無差別処刑に端を発する、数々の非道なふるまい。それは、世界の根元的不条理に対する彼の孤独な闘いだった……『異邦人』『シーシュポスの神話』とともにカミュ〈不条理三部作〉をなす傑作、新訳で復活。(カバー裏あらすじより)
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