『天使の蝶』プリーモ・レーヴィ/関口英子訳(光文社古典新訳文庫)★★★☆☆

 『Storie Naturali』Primo Levi,1966年。

 イタリアの作家とそりが合わないのか、訳者とそりが合わないのかはわからないけれど、同じ古典新訳文庫の『猫とともに去りぬ』もこの『天使の蝶』もどうにもピンとこない作品集でした。

 巻頭「ビテュニアの検閲制度」にしたって表題作にしたって、実際にそういう経験を生き抜いて来た人が書いたものだと思えば、その毒と強靱さに驚くけれど……。けれど毒としてはあまりにも真正直すぎて、SFや幻想小説をあるていど読み慣れた人間には、あまりにも古くさすぎる作品でした。

 なぜか戯曲形式の作品が挟まっていたり、冒頭にラブレーが引用されてたので読み返したくなっちゃったり、へんなところはある。

 「先史時代の鳥類」のような奇怪な骨を見つけたのは、廃墟と化した大戦後のベルリンのアパートの一室……。表題作「天使の蝶」には、化学者でもあったプリーモ・レーヴィの世界観が凝縮されている。人間の夢と悪夢が交錯する、本邦初訳を多数収録した傑作短編集。(カバー裏あらすじより)
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