『ミステリマガジン』2009年06月号No.640【特集 ウェストレイクを忘れない】

「迷宮解体新書12 福田和代」

「私の本棚18 瀬川深」
 

「特集 ウェストレイクを忘れない」
 今月は髭のおじさんキャラも泥棒して追悼。しかしわたしはウェストレイクが苦手なので、今回はパスしました。

「ドートマンダーのワークアウト」「右から読んでもスキークス」「パーティー族」
 

『犬なら普通のこと』(第1回)矢作俊彦司城志朗
 矢作氏は追悼エッセイも寄稿。これは『悪党パーカー』オマージュ作品だそうです。……ということは、ウェストレイクが亡くならなければ、この連載もなかったのでしょうか? そう思うとちょっと怖い。
 

・先月号に『さよなら、愛しい人』が掲載されていて、またチャンドラーが無性に読みたくなりました。でも『ロング・グッドバイ』単行本の装幀がヒドかったので、『さよなら』を買うかどうかは装幀次第、と決めていたのですが、その装幀を広告ページで確認できました。……これはまたゴリゴリのハードボイルド・ファンに媚びたような……よっぽど前回の装幀が評判悪かったんだろうなあ。。。保守反動です。個人的にはハードボイルドともチャンドラーとも無縁の、春樹ファンを狙ったような装幀でもよかったんじゃないかと思うのですが。てゆうかこれはヒイちゃいますって。
 

「沈黙の時代の作家(第4回)」サラ・パレツキー山本やよい
 

書評など
ラーナ・ダスグプタ『東京へ飛ばない夜』は変な話っぽいので興味が湧きます。変な話といえば(?)マリー・フィリップス『お行儀の悪い神々』はその名の通りギリシア神話の神々が現代のロンドンで暮らしている話。アラン・ベネット『やんごとなき読者』はエリザベス二世が読書という「悪癖」に染まってしまう話(フィクション)。変は変でも「奇妙な味」なのがダンセイニ『二壜の調味料』。リンリーとスメザーズものは意外とトリッキーだったりアクロバティックだったり、10ページ足らずの短い中でいろいろと妙なことをやっている印象です。

◆ほかには米澤穂信秋期限定栗きんとん事件』、柴田元幸編訳『昨日のように遠い日』、『越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文』など。

◆洋書ではまたまたピエール・ブールジャド『Pitbull』が紹介されています。黒黒ノワールです。

◆DVDからはリリアン・ギッシュ&D・W・グリフィス『大疑問』
 

「翻訳ミステリ応援団!(第3回)」北上次郎×田口俊樹×早川書房文藝春秋・新潮社の各編集者
 文藝春秋や新潮社の海外ミステリを、わたしは過去も現在もほとんど読んでいないことに気づく。「レーベル買い」の話が出ていたけれど、その通りだと思いました。「海外ミステリ」ではなく「海外小説」というくくりなら、新潮社は好きなレーベルなのだけれど。
 

「独楽日記(第18回) 更にしつこく、ブレゲンツの『トスカ』について」佐藤亜紀
 佐藤氏の『トスカ』の面白がり方は、一部の「バカミス」の概念に近いような気がします。門外漢が見たらただの失敗作なんだけれど、知っている人にはその愛がわかってしまうというような。
 

「誰が少年探偵団を殺そうと。」10 千野帽子「空疎な解説と恫喝的な批評。」
 『容疑者X』論争とか伊藤計劃氏の映画評批判が遠因なのでしょうか、最近、評論についての批評が増えて来たように感じます。何だかピリピリしてます。全然ゆるゆるじゃありません。
 

「Dr.向井のアメリカ解剖室(6)」

「日本映画のミステリライターズ」(第34回「真保裕一と『WHITEOUT』)石上三登志

「ミステリ・ヴォイス・UK」(第18回 デビッド・スーシェ・インタヴュー)松下祥子
 

「僕は長い昼と長い夜を過ごす」小路幸也

「お茶の間TV劇場(10)サーフサイド6」千葉豹一郎

「ヴィンテージ作家の軌跡(74)」直井明

「仁賀克雄のできるまで(2)乱歩訪問と会の発足」仁賀克雄

「郭公の盤(8)」牧野修田中啓文

「夢幻紳士 回帰篇(第十話)夜会」高橋葉介

「旅人本の虫レベ(18)」レベッカ・スーター

「紙の砦の木鐸たちの系譜(10)」井家上隆幸

「夜の放浪者たち 第54回 小栗虫太郎『悪霊』(後編)」野崎六助
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  『ミステリマガジン』2009年6月号
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