『泣き声は聞こえない』シーリア・フレムリン/直良和美訳(創元推理文庫)★★★☆☆

 『With No Crying』Celia Fremlin,1980年。

 文庫創刊50周年記念の推薦&復刊本。

 15歳の背伸びと嘘が巻き起こした一つの事件。嘘はふくらみ、周囲を巻き込み……。生意気というよりもむしろ健気な15歳のしでかしたことは、いくらでも苦くなっていいはずなのに、苦いままでは終わりません。やったのは取り返しのつかないこと――だったと少女には思えたけれど、本当に取り返しのつかないことなんて、そうはないのでしょうか。最後にはまるでコージーものみたいな変わりようです(変わりすぎでは……。子どもが一つ成長するだけでなく、誰も彼もが丸く収まるのはいいことですが)。

 どうしてこんなことになってしまったんだろう? 春までは、受験も遠い第四学級生としてささやかな青春を送っていた。それが今、この日盛りの街をゆく自分は、マタニティウェアを着て、人々の好奇のまなざしを浴びている。しかも、ふくれたおなかの中に赤ん坊はいなくて、ぶざまに詰め物がしてあるだけなんて……。15歳の少女が体験した、ある夏の物語。鮮やかなサスペンス。(カバー裏あらすじより)
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