ディーヴァーの短篇4つ+詩+エッセイ+インタビューと大ボリューム。さすがに四つもまとめて読むとだんだんびっくりしなくなってくるので、ちまちま時間を置いて読むことをおすすめします。
「迷宮解体新書22 塔山郁」
「私の本棚22 真崎義博」
「2009年エドガー賞晩餐会リポート」
「国際推理作家会議2009リポート」小山正
「戦慄」ジェフリー・ディーヴァー/池田真紀子訳(Afraid,Jeffery Deaver,2006)★★★★☆
――マリッサは知り合って一カ月になるアントニオと週末を過ごすのを楽しみにしていたのだが、なぜか不安を感じはじめて……。(編集部解説より)
「五種類の恐怖」+どんでん返し+リドル・ストーリーという極上の一篇。相当怖い。
「読書の死」ジェフリー・ディーヴァー/佐藤耕士訳(The Death of Reading,Jeffery Deaver,2006)
本が読まれなくなってきていると言われていることについての詩。
「トリック・オア・トリート」ジェフリー・ディーヴァー/高山真由美訳(Trick or Treat,Jeffery Deaver,2008)★★★★☆
――強盗を働いた際に人を殺したプロの犯罪者ルディ。しかし、完璧に終えたはずのその事件に、目撃者がいたとわかる。裁判で証言されたら有罪判決は間違いない。その前に目撃者を殺すしかない――ハロウィーンの夜、ルディは目撃者の家に押し入り、その妻を人質にとる。(編集部解説より)
掌篇ながら、さり気ない文章に潜ませた真相に舌を巻きます。
「幽霊屋敷の思い出」ジェフリー・ディーヴァー/高山真由美訳(My Haunted House,Jeffery Deaver,2008)
ハロウィーンの思い出(恐怖)を綴ったエッセイ。粋なじーちゃんばーちゃんだ。
「尋問」ジェフリー・ディーヴァー/越前敏弥訳(Interrogation,Jeffery Deaver,1996)★★☆☆☆
――無防備な女性を殺害し、長期間に渡って警察の手を逃れてきた殺人犯が逮捕された。だが犯人は、なかなか動機を明かさない。裁判の判決が下される前日、捜査にあたった警部は、全てを明らかにすべく最後の尋問を始める。(編集部解説より)
これはさすがにあまりにもわざとらしい。そんなことを、しかもそんなに詳しくしゃべるわけないだろう、という不自然さが目立ちました。
「熱帯夜」ジェフリー・ディーヴァー/飛田野洋子訳(Ninety-eight Point Six,Jeffery Deaver,2003)★★★★☆
――むっとする熱気が立ち込めるある夏の夜、セールスマンのスローンは一軒の家の戸を叩いた。車が故障したので、電話を借りて救援を頼むために。だが、現われた腕に入れ墨のスキンヘッド男はどこか剣呑で、他の住人の夫婦の態度もぎこちない。家を後にしたスローンは、あるニュースを聞く……。(編集部解説より)
倒叙というかコンゲーム風のストレートな書かれ方をしていた方が好みではありますが、実は困難な命題をどうやって実現するのかという作品でした。
「最長不倒距離を更新し続ける男」小池啓介
「ジェフリー・ディーヴァー語る(インタヴュー)」
「スキンヘッド・セントラル」T・ジェファーソン・パーカー/七搦理美子訳(Skinhead Central,T. Jefferson Parker,2008)★☆☆☆☆
――湖畔の家に引っ越したジムとわたしが出会った兄弟は――。(袖惹句より)
2009年MWA最優秀短篇賞受賞作。またこんなの。
「独楽日記(第22回) 「webラジオ中継で聞くバイロイト」佐藤亜紀
「虚実往還」(2)吉岡忍
「誰が少年探偵団を殺そうと。」14 千野帽子「意外に風俗小説な『燃えつきた地図』。」
「Dr.向井のアメリカ解剖室(10)」
「お茶の間TV劇場(14)ピーター・ガン」千葉豹一郎
「翻訳ミステリ応援団!(5)版権エージェント」
「プロメテウス・マジック(中編)」福田和代
「旅人本の虫レベ(22)」レベッカ・スーター
「CRIME COLUMN #318」オットー・ペンズラー
『深夜の告白』にチャンドラーがカメオ出演していたそうです。
「書評など」
◆『9つの扉』は、お題リレー小説。福井氏も書いているとおり、企画はもちろん麻耶雄嵩や殊能将之が執筆しているのがポイントです。
「ミステリ・ヴォイス・UK」(第22回 民衆の敵? 味方?)松下祥子
「ヴィンテージ作家の軌跡(78)」直井明
「夜の放浪者たち 第58 光り輝く道と暗い影の道と」野崎六助
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『ミステリマガジン』2009年10月号
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