「My Favorite SF(48)」橋元淳一郎
スタニスワフ・レム「手記」。
「読み継がれる神林長平」神林長平・円城塔・桜坂洋・辻村深月
辻村氏が意外。こういうのって尊敬する先輩に失礼のないように型にはまったようなやり取りだったりすることも多いのだけれど、神林氏の人柄なのか、かなり和気あいあいで、読んでて楽しいトークショーでした。
「最後の粉挽き職人の物語」イアン・R・マクラウド/嶋田洋一訳(The Master Miller's Tale,Ian R. MacLoed,2007)★★★★☆
――風車小屋に暮らし、風と呪文の力で粉を挽く男は、廃れゆく技術を守りつつ日々を送る……(袖コピーより)
風と呪文の力で粉を挽く世界に新技術の蒸気機関が出現するという、改変歴史ものではあるのだけれど、マクラウドなので、その改変ならではを掘り下げてどーのこーの、ということはありません。いつの時代のどこの世界でもあり得る、新技術に抵抗する職人気質の物語でした。
「アボラ山の歌」シオドラ・ゴス/市田泉訳(Singing of Mount Abora,Theodora Goss,2007)★★☆☆☆
――ダルシマーの音色に乗せてわたしが語るのは、髯と引き替えに龍が望んだ娘の物語(袖コピーより)
世界幻想文学大賞受賞作。なのですが、こういうファンタジーファンタジーした作品は苦手です。。。
「図書館と七人の司書」エレン・クレイギス/井上知訳/朝倉めぐみイラスト(In the House of the Seven Librarians,Ellen Klages,2006)★★★★☆
――七人の司書は勤め先の古い図書館に住み着いて、静かな時の流れのなかに暮らしていたが……(袖コピーより)
延滞料の代わりに赤ん坊が送られてきてしまいました。けれどそこは「ここではない」図書館で暮らしている皆さんなので、慌てず騒がずその子を立派な司書に育ててゆきます。少女の成長物語。
「おまかせ!レスキュー Vol.138」横山えいじ
「MAGAZINE REVIEW」〈インターゾーン〉誌《2009.5/6〜2009.7/8》川口晃太朗
キム・レイキン=スミス「ジョニーとエミー=ルーは結婚します」(Johny and Emmie-Lou Get Married)は、結婚したいと願っている男女が「目的地の教会まで改造自動車で突き進むのですが」「対立する二つのギャングの抗争」や「彼女に言い寄るかつての男」などの数々の障害が……。
「SFまで100000光年 75 「好きすぎ」好き」水玉螢之丞
「SF Magazine Gallery II(6)」野川いずみ「渡海」
「WONDER WORKZ。文庫1000点突破記念対談」岩郷重力×大森望
うん、そうそう。創元がかっこよくなったよね(^_^)。この人のおかげだったのか。
「SF BOOK SCOPE」林哲矢・千街晶之・牧眞司・長山靖生・他
◆奇想コレクションの新刊、ジョージ・R・R・マーティン『洋梨形の男』は、久々に奇妙な味系のヒット。スタニスワフ・レム『泰平ヨンの航星日記』は、レムのシリアス系が好きな人間でも楽しめます。国書の未来の文学新刊はトマス・M・ディッシュ『歌の翼に』。改訳復刊版。ディッシュは苦手だけど、どうしようか。
◆詠坂雄二『電氣人間の虞』は、「ホラーでなければ成り立ち得ないホワイダニット」というところが気になります。
◆アラン・ムーア他『フロム・ヘル』、H・P・ラヴクラフト『文学における超自然の恐怖』といった「話題作」のほか、ピエール・ロチ『倦怠の花』も変な小説のようです。松村秀一他監修『宇宙で暮らす道具学』は、「本誌読者たちが読まなければ誰が読むのかと言いたいような本」。むむむ。
「中古車にはなぜ風船が飾られているか」椎名誠《復活!椎名誠のニュートラル・コーナー17》
おお、昨今の新書タイトルのような、思わず食いついてしまう、あるあるな疑問です。
「鎧と薔薇」菅浩江
「すばらしい新世界」樺山三英
――「アメリカはどこか?」先生は絶えずそう叫びながら、あてどない旅を続けています。(袖コピーより)
これもハクスリーの原典を読んでいないので読んでからにします。
「デッド・フューチャーRemix(86)」永瀬唯
「SF挿絵画家の系譜(45)勝呂忠」大橋博之
ポケミスでおなじみの画家さんです。「すぐろ・ただし」と読むのかあ。大正15年生で、今も現役で毎月ポケミスの仕事をしてらっしゃるのでしょうか……?
「サイバーカルチャートレンド(6)デジタルガジェト」大野典宏
「サはサイエンスのサ 176(H5N1パンデミックも杞憂かも)」鹿野司
「センス・オブ・リアリティ」
金子隆一「世界が燃え尽きる日」、香山リカ「手を差しのべる大切さ」
「芝居と小説、その語りかたの違い」上田誠×森見登美彦
この二人がSFマガジンで対談というのが、不思議なような、そうでもないような。
「天国への旅」M・リッカート/三角和代訳(Journey into the Kingdom,M. Rickert,2006)★★★★☆
――カフェに飾られた油彩の連作と解説用のバインダーには、奇妙な物語が隠されていた……(袖コピーより)
世界幻想文学大賞受賞。嵐で死んだ父親の幽霊が連れてきたのはハンサムな若者……というのが、解説用のバインダーに隠されていた幽霊譚。現実パートになると、人生に倦み疲れた男が登場。「恋が訪れるときは、かならずしも予想どおりだとはかぎらない。(中略)もちろん、問題はあった。相手が生きていないことがひとつ。だが、アレックスは偏見をもつ男ではなかった。」とのたまいます。こういうことを真顔で言えちゃうほど絶望してます。これがちゃんと活きている。同じパターンで二度とも感動させるという難しいことに成功しています。
「本棚のうしろの国――ハヤカワ文庫FTの30年」三村美衣
「ハヤカワ文庫FTおすすめタイトル30選」飯田一史・石堂藍・卯月鮎・榎本秋・香月祥宏
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