ところが英詩ときたら、そんな手続きはほとんどなし。いきなり語り手が絶叫していたりする。勝手に怒っていたり、嘆いていたり。何より一番たちが悪いのは、勝手に喜んでいる場合です。(中略)この勝手な喜びとどうつき合っていいのか。
このくだりを読んで、思わず「うん、そうそう」とうなずいた方も多いのではないでしょうか。
英語がわからない、でもなく、詩がわからない、でもなく、英詩がわからない、という人間向けにはまさにうってつけの本でした。
勝手に喜び派の代表は、ワーズワースとホイットマン。ワーズワースの詩『序曲』における「and」の使い方の説明などを読むと、なるほどハイテンションぶりが伝わってきます。
問答篇では、日本人にとっては難敵のキリスト教の問題も扱われています。
タイトルが「英詩のわかり方」、帯惹句が「英語の肌ざわりを楽しむ」、本文には「『っぽさ』のまま読んでおくのは大切でしょう」とあるように、なかなか普通とは違うユニークな解説本でした。