『英詩のわかり方』阿部公彦(研究社)★★★★☆

 ところが英詩ときたら、そんな手続きはほとんどなし。いきなり語り手が絶叫していたりする。勝手に怒っていたり、嘆いていたり。何より一番たちが悪いのは、勝手に喜んでいる場合です。(中略)この勝手な喜びとどうつき合っていいのか。

 このくだりを読んで、思わず「うん、そうそう」とうなずいた方も多いのではないでしょうか。

 英語がわからない、でもなく、詩がわからない、でもなく、英詩がわからない、という人間向けにはまさにうってつけの本でした。

 勝手に喜び派の代表は、ワーズワースホイットマンワーズワースの詩『序曲』における「and」の使い方の説明などを読むと、なるほどハイテンションぶりが伝わってきます。

 問答篇では、日本人にとっては難敵のキリスト教の問題も扱われています。

 タイトルが「英詩のわかり方」、帯惹句が「英語の肌ざわりを楽しむ」、本文には「『っぽさ』のまま読んでおくのは大切でしょう」とあるように、なかなか普通とは違うユニークな解説本でした。

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 『英詩のわかり方』


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