『魂の重さは何グラム? 科学を揺るがした7つの実験』レン・フィッシャー/林一訳(新潮文庫)★★★★☆

 いやあ面白い。本書を読むかぎりではつまり、魂が存在しないことや魂に重さがあるのではないこと、は――少なくとも厳密には科学的に証明されているわけではないということになっちゃうじゃないですか(もちろん「存在する」ことが証明されたわけでもない)。

 初めにマクドゥーガルという科学者が死後直後の重さを計ったところ、確かに重さが変化しました。次にトワイニングという科学者が開放された場所と密閉した容器のなかでネズミを死なせたところ、開放されたネズミは重さが変わり、密閉されたネズミは重さが変わらなかった――。

 科学者ではないわたしは、ここで「おお!」とあっさり納得してしまったのですが、科学者である著者は、「得られた証拠から、マウスは実質的な魂をもっており、その魂は(肉体を離脱したあとも)ガラスを通りぬけられないと結論することもできるだろう」。これぞ科学的態度。

 科学的という点では、実はマクドゥーガルも科学的なのでした。オカルト系の実験をする科学者って、何度か実験をして科学的に証明できなければ、そこであっさりオカルトに転向するってパターンが多くて、何でこんなにアホなんだろうって思ってたのですが、それは一部の人だけみたいですね。トワイニングがやったように、実験の条件の違いにまでは配慮できなかったとはいえ、マクドゥーガルは実験結果から飛躍した結論に飛びついたりはしませんでした。帯にあるとおり「科学者、苦悩す」るのです。

 ガリレオの『新科学対話』は読んだことがなかったのですが、紹介されている問答形式の証明がとても面白いです。重さの違う物体を紐で結んだとして……のロジックにしても、三本の柱の思考実験にしても、ほんっとびっくりするくらい鮮やかです。

 ほかに、先が尖っている避雷針と丸まっている避雷針どちらが効果的か?、錬金術フランケンシュタイン、など。
 ---------------

  [bk1amazon楽天
 『魂の重さは何グラム?』


防犯カメラ