『義経記 日本古典文学全集31』梶原正昭校注・訳(小学館)

 先日読んだ『平家物語』と比べて、義経一行に焦点が絞られている分、一人一人キャラクターが立っていて読みやすかった。

 なかでも弁慶がやたらとかわいい人で面白すぎます。強力で学識豊かで負けず嫌い。そんな川くらい飛び越えてやると言って、向こう岸の岩にみごと飛びついたまま、岩ごとぽろりと落っこちる弁慶。追っ手の目をくらますため故事に倣って靴を逆向きに履いて歩くものの、不自然なのであっさりばれる弁慶。逃亡中に餅を分けてくれた義経に感動する一同に「泣くんじゃない」と強がったあとで、実は自分も……と餅を差し出す弁慶。学識と弁舌でときに関守を翻弄し、ときに調子に乗りすぎてばれそうになる弁慶。味方がみんな討たれてしまったのに、「足手まといがいなくなった」と強がりを言って立ったまま死ぬ弁慶。

 源平の戦にはまったくと言っていいほど触れられていません。あっさり、とかいうレベルですらないことにびっくりしました。
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