『吾輩はシャーロック・ホームズである』柳広司(角川文庫)★★★☆☆

 前から読みたいと思っていた柳広司作品、ホームズものということもあって読んでみました。

 夏目漱石が自分のことをホームズだと思ってしまう――ものすごい設定のパロディのわりには毒が少なくて、わりと普通のパスティーシュでした。もしかすると器用貧乏そう。

 ドイル=ワトスンには書き得なかったイギリスの植民地政策を批判する場面があったり、東洋人を主役にすることで人種や文化について書かれてあったりするところが、特徴的ではありますが。

 P.211の展開がすごかったなァ。この流れのまんまで最後まで行ってくれても面白かったのに。

 ロンドン留学中の夏目漱石が心を病み、自分をシャーロック・ホームズだと思い込む。漱石が足繁く通っている教授の計らいで、当分の間、ベーカー街221Bにてワトスンと共同生活を送らせ、ホームズとして遇することになった。折しも、ヨーロッパで最も有名な霊媒師の降霊会がホテルで行われ、ワトスンと共に参加する漱石。だが、その最中、霊媒師が毒殺されて……。ユーモアとペーソスが横溢する第一級のエンターテインメント。(カバー裏あらすじより)
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