『河鍋暁斎 暁斎百鬼画談』安村敏信監修・解説(ちくま学芸文庫)★★★☆☆

 今までちゃんと興味を持ったことのない画家だったので、「きょうさい」と読むことや、明治の人でもあったことなどを、初めて知りました。

 『暁斎百鬼画談』全図に、参考図版がいくつかと、小松和彦の前書きと岡島奈音による図版解説を収録。監修者は暁斎本人と画業についての解説を担当していました。

 61ページに鏡の妖怪が描かれています。原典の『百鬼夜行絵巻』を見ると、ほかの妖怪たちが御簾(?)の隙間からその鏡妖怪を覗いていることがわかるのですが、暁斎バージョンだと御簾がほとんど描かれておらず(縦線一本のみ)、隙間から覗いているというよりも空間自体が裂けているというか、顔のない鏡妖怪の本体である顔が布の切れっ端に浮き出ているようにも見えて、とても凄みのある絵に見えました。これはこれで、誤読しておいた方が怖くていい。

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