『世界名探偵倶楽部』パブロ・デ・サンティス/宮崎真紀訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)★★★★★

 『El Enigma de Paris』Pablo de Santis,2007年。

 中南米の文学を普及させる目的で創設されたプラネタ−カサメリカ賞第1回受賞作。

 嘘偽りない「名探偵」たち12人で構成される〈12人の名探偵〉。最高の探偵術が求められる事件は〈密室殺人〉、名探偵が開く探偵術講座、記憶と衝動・証拠を見わける目・蟋蟀の狩人といった個性的な各国の探偵術、助手は推理してはいけないだなんていう役割分担……まるでパロディのような、名探偵ものの「ツボ」を押さえた設定と、そもそも「名探偵」って何よ?という批判精神が、たっぷり詰まって面白いの何のって。

 さすがボルヘスの国というか何というか。

 この麻耶雄嵩みたいなスタンスがたまらなく楽しかったです。

 名探偵の終わりにして名探偵の始まり。かっちょいい。

 もしやアンチなミステリになるんじゃないかと思っていたけど、しっかりと解決されていて、その点でも申し分なしです。(だけど解決編は、スペイン語がわからない人間にも一瞬でわかるような書き方をしてほしかった。ルビを振るとか。読み逃しただけかもしれないけど)。

 1889年、世界の名探偵からなる〈十二人の名探偵〉クラブの総会がパリの万国博覧会に合わせて開かれることになった。名だたる探偵たちが一堂に会し、自慢の小道具や独自の探偵論を披露するのだ。しかしその矢先、フランス代表が、建設中のエッフェル塔から不審な転落死を遂げ、各国の探偵は得意の推理力を発揮せんと色めき立つ……これぞ、探偵小説の醍醐味! 古き良き黄金時代への限りないオマージュを込めた、本格ミステリ(カバー裏あらすじより)
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