白水社のアンソロジー『笑いの錬金術』で知ったジョルジュ・オリオールの作品を読んでみました。ネット上で読めるのは二つ。デザイン関係の方で有名らしく、残念ながらユーモア作品集は稀覯本のようです。
「Tom Slooper」
――道化師トム・スローぺが「面白い話」を聞かせてくれた。……ロンドンで泊まった家の家族は、朝早くから木靴を履いて歩きまわるとんでもない奴らだった。そこで僕は、窓から抜け出し――。
「comment trouvez-vous le bouillon?」という表現を知りました。直訳すると「ブイヨンをどう思う?」。「これをどう思う?」という意味だそうです。聞き手は「塩が足りない」と答えたがために、面白い話を聞いて「すごい!」と言わされるはめになります。以下オチ反転。靴下代わりに吊るしていた木靴を盗み出して乞食にプレゼント。翌日の新聞には、クリスマスの謎という記事が踊った。反転おわり。
「Curieuse facon de traiter les Cambrioleurs」
――男爵が身の上話を始めた。……コレクションを狙って泥棒が入るのは目に見えていた。だからわしは考えた。まずは使用人と友人を城に招待した。何が起こっても声を立てないように約束させておいた。真夜中になったが、何も起こらない。だがやがて――。
「珍・強盗対処法」。以下オチ反転。食卓に着いてみんなでお出迎え。なかなかやって来ない強盗に向かって、「遅いから先に始めとったぞ」で幕。反転おわり。
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『笑いの錬金術』(「私はうちの女中を殺しました」「ニス」収録)