『ホッグ連続殺人』ウィリアム・L・デアンドリア/真崎義博訳(ハヤカワ・ミステリ文庫)★★☆☆☆

 『The Hog Murders』William L. Deandrea,1979年。

 これはひどい。事件が始まった瞬間に、真相が一つしかあり得ないことはまるわかりなのですが、結局なんのひねりもなくやっぱりそれが真相だったというのでは……。真相がわかっても面白い作品だっていくらでもありますが、本書の場合は作者の伏線や組み立てがへたっぴいなのでうんざりがっかり感しか残りません。

 瀬戸川猛資氏が言っていたように、ヒーターの前で凍死していた死体とか童話ばかり所有していた容疑者の謎とかは面白いんだけど。。。でもそういう謎をそこここにまぶして謎の魅力で作品を引っ張ってくれたりはしないし、引っ張って煽ってくれないだけに真相が明らかにされたときの感動も少ないのでした。

 名探偵・助手・警視・部長刑事・新聞記者・心理学者の探偵チームが活躍する、刑事ドラマ……だと思って読んだら、おや意外と本格でした!――くらいの気持で読んだ方がよいです。動機とかHOGとかも取ってつけ程度です。

 『二つの微笑を持つ女』を連続で起こし、しかもそこに人間の意思を介入させた――といえばどれだけばからしい作品かわかるでしょうか。クリスティの先行作より優れているとも思えないし。

 彼は町中の人を皆殺しにする気だ――ブリザードが吹き荒れるニューヨーク州の地方都市スパータを恐怖で凍らせた犯人は、HOGと名乗った。車の事故に見せかけて若い女性を殺したり、階段を落ちたように見せかけて老人を殺す。ある時は鋭利なつららで、またはヤクの射ち過ぎに見せて……そして警察の捜査をあざ笑うかのように届くHOGの挑戦状。困惑する当局は世界有数の頭脳といわれる犯罪研究家に事件の調査を依頼した。名探偵ニッコロウ・ベイネデイッティ教授登場! 1979年度アメリカ探偵作家クラブ最優秀ペイパーバック賞受賞の本格傑作!(カバー裏あらすじより)

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