この手の新書は基本的にトンデモが多そうなのですが、ぱらぱらっと見て意外と文章がしっかりしていたので購入しました。
いろいろ詰め込みすぎていて、前半と後半は何だかよくわかりませんでした。邪馬台国の話も面白いのですが、かなり煩雑で。
面白いのは中盤ですね。日本書紀は誰のために書かれたのか――。
壬申の乱によって系統が天智系から天武系にシフトし、その跡を天武の妻の持統が継いだ。その正当性を主張するための記録が『日本書紀』なのだ。――というのがおおざっぱな定説です。
著者は、藤原氏である不比等が持統朝で出世していることに着目し、なぜ壬申の乱で破れた天智・(藤原)鎌足系の子孫が天武系で出世できたのか、を疑います。そして持統が天武の妻であると同時に天智の娘であることに注目し、持統朝とは持統・不比等による無血クーデターだったのだ、と主張します。
つまり『日本書紀』は天武天皇に都合のいい記録ではなく、藤原氏にとって都合のいい記録なのである――というのが結論。
ここらへんは推理小説を読んでいるみたいで楽しめました。
図表が安いプレゼンみたいでキワモノ感ただようのが何ともかんとも。
『日本書紀 塗り替えられた古代史の謎』改題改訂版。
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