『冬のさなかに ホームズ2世最初の事件』アビイ・ペン・ベイカー/高田恵子訳(創元推理文庫)★★★☆☆

 『In the Dead of Winter』Abbey Pen Baker,1994年。

 再読。

 ホームズものということにあまり縛られておらず、コージー本格っぽく楽しめます。背の高い外見と推理能力こそホームズ譲りだけれど、おんなじなのはそのくらい。なにしろワトソン役が、婦人運動に参加しているアメリカの大学生です。

 被害者の地元の田舎町に出かけて行って、噂話や限られた容疑者がうごうごの、田舎が舞台のクリスティ作品みたいな昔ながらの本格のたたずまい。手がかりや新事実はどんどん見つかるものの、事件の核がなかなか明らかにならないのが、ちょっと飽きるかな。

 ゴドフリー・ノートンが父親としてけっこうな登場回数なところとか、その他ちょこちょことした原典の使い方がなかなか。まさかあの人も出てくるとは思わなかった。

 本文にも続編がありそうな文章が書かれているし、巻末の作品リストにも「Death at the Round Talbe、1996」と出版年まで書かれているのに、本書以外に新作が出た形跡はない模様。道理でいくら待っても邦訳されないわけです。

 一発の銃声とともに踏みこまれた下宿の一部屋で、殺され剥製にされた大家の死体が発見される。流言蜚語が飛びかう中、スミス女子大学で論理学を講ずるマールと教え子フェイが見いだした巧緻なからくりとは? 不朽の名探偵シャーロック・ホームズと女傑アイリーネ・アドラー、二人の天才を両親にもつ宿命の女性マールが鮮やかな推理で怪異な事件の真相に迫る。謎解きの醍醐味!(カバー裏あらすじより)

  


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