「らいふ&です・おぶ・Q&ナイン」狩久(角川書店『甦る「幻影城」』より)★★★☆☆

 ――その黒枠の死亡通知は奇妙なハガキであった。「犬、天に向かって吼え……」という謎めいた三行の文字が並んでいる。どうやら「あの人」が死んだらしい。以前に自分の葬式について奇抜なアイデアを得々と語っていたが。葬儀に集まった十一人の前で、生前に吹きこまれたテープがまわされた……。

 狩久の葬式に妙齢の美女が弔問に来たことに不審と嫉妬を抱いた教授が、「狩久が美女に愛されるわけがない=死んだのは狩久ではない」と自分を納得させ、地球外宇宙からやって来たカリ・ナインとカリQの入れ替わりトリックを披露するという、珍作。狩久の経歴にくわえて、シャーウッド・アンダーソンやビアスら、失踪した作家たちのエピソードも取り込まれた楽屋ネタいっぱいの作品です。
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