『嘘でもいいから誘拐事件』島田荘司(集英社文庫)★★★☆☆

「嘘でもいいから誘拐事件」★★★☆☆
 ――軽石三太郎とボクらは、「こんばんワン」と鳴く犬を求めて東北の秘境、鬼首村に乗り込んだ。レポーターの美穂ちゃんがロープウェイから姿を消し、オニから身代金が要求された……。

 ロープウェイからの人間消失という謎は魅力的ですが、真相は島荘流大トリックではありませんでした。ちぇっ。でもその失踪を引き起こした動機と鬼の出現――謎でもなんでもないことを謎に見せるセンスとテクニック――には島田荘司らしいところがあって、このあたりはけっこう好きです。
 

「嘘でもいいから温泉ツアー」★★★☆☆
 ――深夜に色が変わる五色温泉に呼べば出てくる温泉と、今回もでっちあげ番組のために軽石三太郎とボクやタックたちは温泉に向かった。白装束の女が、走っている車のフロントガラスを手で叩くという怪談まで飛び出した。

 ますます悪ノリして、今回は謎もなにも悪ノリしかありません。強いて言うなら「何が謎か」を探す作品というか……。
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  『嘘でもいいから誘拐事件』


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