『comic BLADE』2011年9月号

 普段は漫画や小説に「主人公に共感する」だとか「読んで元気をもらう」とかいうことは期待していないのだけれど、『ハックス!』だけは別で、わたしにとって唯一の「元気の出る漫画」です。そんな今井哲也の読み切りが掲載されているというので購入しました。「魔女っ娘縞咲さんの失踪」。町を守る「当番」のドジっ子の魔女っ子がパートナー(使い魔)である先輩から告白されたあと、失踪してしまう……という内容です。主人公の魔女っ娘・縞咲笑美はこれまでの今井作品にないタイプのキャラで、自分に自信のないウジウジで天然系のドジっ子なのですが、これが健気というより鬱陶しく、猫耳型の髪型をしている先輩にいたってはその髪型の意味がわからない! 『ハックス!』や「カレーLOVE!」では、縞咲とミキに当たるのに近い人間関係が描かれていたし、『ぼくらのよあけ』は男の子たち(に女の子という異物が混じる)だし、縞咲−ミキではなく縞咲−先輩を中心にした本篇がちょっとのっぺりしていることを考えると、著者は異性より同性の方が得意なのかも(※性別が原因ではなく、先輩がミキのようにもっとはっきりしたキャラだったら問題なさそうではありますが)。いずれにしても結果的にミキに思うほど筆が割かれていないため、ほかの作品にも見られたイジメ設定も、本篇では思うほど活きてませんでした。

 


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