『Inspector French and the Cheyne Mystery』F. W. Crofts,1926年。
古き良きお気楽なサスペンス映画のような作品でした。事件に巻き込まれた主人公カップルがなーんも考えずにみずから事件に飛び込んで犯人一味とやったりやられたりを繰り返します。
しかしそんな主人公も事件が深刻化したことでようやく警察に相談。領収書の切れ端に残された文字から犯人が立ち寄っていた場所を推理したり、そもそもの事件のきっかけだった図面の暗号を解いたりするのがフレンチ警部の見せ場です。
『毒蛇の謎』もそうでしたが、前半と後半で雰囲気がまったく違っていて、フレンチ警部が出てこない方が面白いんですよね。。。『樽』のように初めから地道な捜査が描かれているのならそのペースにも乗れるのですが、二部構成だとどうしても警察の捜査になった途端に前半の勢いが殺されてしまいます。
前半も今読むと、何度もおんなじパターンにひっかかるなよ、というのを見ないふりして楽しむお約束のサスペンスなので、心からハラハラドキドキはできません。
あと、訳がひどいです。
快活な青年チェイン氏はある日、ホテルで初対面の男に薬を盛られ、意識を失う。翌日自宅に戻ると、家は何者かに荒らされていた。一連の犯行の目的は何か? 独自の調査を始めたチェイン氏を襲う危機また危機。いよいよ進退窮まったとき、フレンチ警部が登場し事件の全貌解明に乗り出す。本書は冒険小説と謎解きミステリの妙味を兼ね備えた、クロフツ初期の輝かしい傑作である。(カバー裏あらすじより)
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『フレンチ警部とチェインの謎』
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