『Frankenstein: Or, The Modern Prometheus』Mary Shelley,1831年。
ホラーの古典ですが、「おれを哀れと思わない人間に、なぜおれが哀れみをかけなければいけない?」というあたりの怪物の告白・訴えを読むと、差別やいじめや正義の問題についての記述にも感じられてアクティヴでした。
手記・告白体の小説形式で、登場人物が自分の告白を裏づける証拠を携帯しているのが、今読むとかえって新鮮。
初めは言葉どころか声も知らなかった怪物が、男の子が叫ぶのを止めようとして(口ではなく)喉をふさいで殺してしまった、というのは合理的でした。その時点で、喉をふさぐと人は死ぬ、ということを学習してしまった怪物が、その後は人を殺すときには首を絞めてまわるのがまたいっそう哀しい。
天才科学者フランケンシュタインは生命の秘密を探り当て、ついに人造人間を生み出すことに成功する。しかし誕生した生物は、その醜悪な姿のためフランケンシュタインに見捨てられる。やがて知性と感情を獲得した「怪物」は、人間の理解と愛を求めるが、拒絶され疎外されて……。(カバー裏あらすじより)
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