『鉛を呑まされた男 ニコラ警視の事件簿2』ジャン=フランソワ・パロ/吉田恒雄訳(ランダムハウス講談社文庫)★★★☆☆

 かげりの見えつつある実在の寵姫の立場を、うまく事件にからめてあるところは面白いし、その思惑も含んだ複数の事件が錯綜していたという真相も見事なのだけれど、せっかくの複数の事件を解き明かしていく手際がごちゃごちゃしているうえに必然性があるようなないようななので、ちょっと残念。

 1761年パリ。ルイ15世の娘アデライード王女の側近であるリュイセック伯爵の館で、変死体が発見された。醜くしぼんだ老人のような遺体は、なんと伯爵の若き子息のものだった。現場は密室で、伯爵も息子は自殺したのだと主張するが、警視ニコラは殺人だと直感する。伯爵は何を隠そうとしているのか? 持ち前の妄想力と正義感で捜査を始めたニコラは、事件の裏に、ある秘密組織の存在を嗅ぎつけ……。人気シリーズ第2弾!(カバー裏あらすじより)

  


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