「雲界のスルタン」ジェフリー・A・ランディス/中原尚哉訳(The Sultan of the Clouds,Geoffrey A. Landis,2010)
――太守の思わぬ招きによって、研究者のリアと僕は金星の空中都市群を訪れたのだが……(袖コピーより)
シオドア・スタージョン記念賞。「青き深淵へ」は天王星が舞台でしたが、今回は金星です。「問題は金星の地表が、地球の海面相当のレベルよりはるか下にあること」による独裁者の思惑。
「火星の皇帝」アレン・M・スティール/古沢嘉通訳(The Emperor of Mars,Allen M. Steele,2010)
――不幸なできごとで正気を失った火星の作業員ジェフが、惑星上で見つけたものとは(袖コピーより)
ヒューゴー賞/アシモフ誌読者賞・ノヴェレット部門受賞。『火星のプリンセス』+『エンリコ四世』。
「アウトバウンド」ブラッド・R・トージャーセン/中村仁美訳(Outbound,Brad R. Torgersen,2010)
――地球が炎上したとき、ぼくは11歳だった。ぼくと妹は必死で木星行きの船へ乗り込んだが……(袖コピーより)
アナログ誌読者賞ノヴェレット部門受賞。子孫を残すということ。
「女王の窓辺にて赤き花を摘みし乙女(前編)」レイチェル・スワースキー/柿沼瑛子訳(The Lady Who Plucked Red Flowers beneath the Queen's Window,Rachel Swirsky,2010)
――女王お抱えの魔術師であるわたしは命を落とし、そして女王の召喚に応じて蘇った――(袖コピーより)
ネビュラ賞ノヴェラ部門受賞。召喚される側の視点というのが面白い。
その他の受賞作のなかでは、世界幻想文学大賞『Who Fears Death』ンネディ・オコラファー、英国SF協会賞・キャンベル賞『The Dervish House(ダルウィーシュ館)』イアン・マクドナルド、ディック賞『The Strange Affair of Spring Heeled Jack(ばね足ジャックの怪事件)』マーク・ホダーをぜひ読んでみたい。コニー・ウィリス『Blackout』『All Clear』は、ハヤカワ銀背より刊行予定。
「書評など」
◆映画『TIME/タイム』は、『ガダカ』の監督による新作。
◆ファンタジーノベル大賞出身者の新作がいくつも紹介されています。勝山海百合『さざなみの国』、西崎憲『ゆみに町ガイドブック』のほか、ノストラダムス・ブーム世代の少女の成長を描いた粕谷知世『終わりつづける世界のなかで』、過去に罪を犯した少年たちの現在を描く遠田潤子『アンチェルの蝶』に惹かれました。
◆「もし、幕末に開国派が処刑され、米・英・仏・露の四カ国連合と日本が会戦していたらどのような明治が訪れていたのか?」というのが、月島総記『刃の如く』。平山夢明の新作『或るろくでなしの死』も刊行。
◆海外からはチャイナ・ミエヴィル『都市と都市』、ジョージ・ソーンダーズ『短くて恐ろしいフィルの時代』、スコット・ウエスターフェルド『リヴァイアサン クジラと蒸気機関』、キアラン・カーソン『トーイン クアルンゲの牛捕り』。
「ウェイプスウィード(後篇)」 瀬尾つかさ
――海を支配する巨大海藻の群生には、想像を絶する秘密が隠されていた。(袖惹句より)
なんだか盛り下がってしまいました。
「サはサイエンスのサ」(202)鹿野司
「SENSE OF REALITY「王様は裸だ!」金子隆一/「“そのとき”を想像しておくこと」香山リカ」
ニュースにもなってたストラディバリウスの音色について。