今月号の表紙はMM、SFM、どちらも買いづらい。ネット書店というものがあってよかった。。。
デザインをリニューアルということで、巻頭言でミステリマガジンの自己紹介が。より広範囲の読者にアピールしてゆく狙いのようです。
「製作スタッフインタビュー」
「コナンの前のほうの巻に載っているということはそれだけ認知度が高いんじゃないかと。」という発想が新鮮でした。ミステリ愛好者からは出てこないであろう発想ですが、ミステリを読まない人にアピールするにはこういう発想が大事なのかもしれません。
「独立記念日の殺人」レックス・スタウト/風見潤訳(The Fourth of July Murder,Rex Stout,1957)
――フリッツの引き抜きをやめるのを条件に、レストラン業者協会ピクニックのスピーチを引き受けたネロ・ウルフ。だが理事のフィリップ・ホルトが死体で発見され、目撃情報から容疑者はテント内の人間に限られた……。
登場人物の一人・譲崎ネロにちなんたネロ・ウルフものの再録。犯人に罠を仕掛けるのは、古畑やコナンでもお馴染みです。のっけからアーチーの軽口が堪能できて、アーチーとウルフの(そしてフリッツの)キャラと関係がよくわかる作品だと思います。アーチーとウルフはキャラが立っているのでアニメ・ファンにも受け入れられるのではないかと。
「ア・スタディ・イン・ミルキィ」北原尚彦/「少女・捜査・ループ」泉信行
「桜庭一樹インタビュー 〜少女は探偵に向いているか?〜」
「少女探偵」ということで、主に『GOSICK』のヴィクトリカについて。「関係性萌え」だそうです。
「運命のレース」ミルドレッド・オーガスティン/羽田詩津子訳(The Decisive Race,Mildred Augustine,1927)
――ちびっこ《ジェット》は、水泳大会のチームに入るために、必死で練習を重ねた……。
少女探偵ナンシー・ドルー・シリーズの著者の一人による、非ミステリ作品。論理的な練習方法に、ミステリの萌芽を読み取るのは穿ちすぎか。
「ナンシー・ドルーのジレンマ」山崎まどか/「千一夜からミルキィホームズまで」芦辺拓
「ミステリちゃんが行く!(1) 綾辻行人」杉江松恋
綾辻氏インタビューと、杉江氏による綾辻論。『奇面館』。
「謎の連続殺人鬼《謎々(リドル)》」アブラハム・ネイサン・ジュニア/山口雅也訳(「《謎》の謎、その他の謎」第2回)
――子どもや老婆を誘拐し、身代金ではなく謎々に答えることを要求する異常犯。正解すれば解放されるが、不正解なら人質もろとも殺される……。一度正解を出されると、負けず嫌いで卑劣な犯人は、答えのない謎々を出題し始めた……。
いきなり第2回になっているのは、読み切り「異版 女か虎か」好評により連載化されたため。謎々にどう答えたかは考えればわかるが、その結果どうなったかはわからない、という「二段構えのリドル・ストーリー」だそうで、これからも新しいタイプのリドル・ストーリーが読めそうです。
「ドラゴン・タトゥーの女 主演ルーニー・マーラ・インタビュー」
「書評など」
◆『ロスト・シティ・レディオ』ダニエル・アラルコンは、新潮クレスト・ブックスの一冊。行方不明者に放送で呼びかけ、家族と本人を結びつけようというラジオ番組が人気を博している某国で……。
◆デビュー作『水時計』がセイヤーズ『ナイン・テイラーズ』から多大な影響を受けていると聞いては読まずにはいられない。ジム・ケリー『火焔の鎖』。
◆その他レーモン・クノー・コレクション『ルイユから遠くはなれて』、綾辻行人『奇面館の殺人』など。
◆『葬式組曲』天祢涼は、葬儀の風習がなくなった未来が舞台。『聴き屋の芸術学部祭』市井豊は、ミステリーズ!新人賞佳作の表題作を含めたデビュー作。といってもシリーズの一篇「横槍ワイン」がすでに『放課後探偵団』に収録されて活字になっています。
◆そして風間賢二と大森望のおすすめは、それぞれ『ゴシック短編小説集』、パオロ・バチガルピ『第六ポンプ』という鉄板。
◆映画は『ヒューゴの不思議な発明』『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』
「幻談の骨法(20) 本文中には空白と矛盾がある。」千野帽子
編集後記によると、「著者多忙のため」佐藤亜紀の連載は先月号で最終回。なんだそりゃ。勘繰っちゃいますよね。
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