今回はドイツ・ミステリ特集ということで、『犯罪』『罪悪』のシーラッハによる単行本未収録短篇「パン屋の主人」のほか、『犯罪』翻訳者とドイツの方の対談、そしてシーラッハのスピーチとエッセイ。シーラッハ以外にもう一人くらい実作の紹介が欲しかったなあ。
「私のとっておき 「コーヒー」」相沢沙呼
「田舎の刑事の宝さがし」滝田務雄
――伝説の大泥棒が埋めたと言われる宝物を巡って、土地の所有者とお宝ハンターの間でトラブルが絶えない。とうとう人が死ぬ事態にまで……。
田舎の刑事シリーズ。殺人の謎はもとより、埋蔵金を埋めたら一目につくはずだ……長年いろいろな人が掘り返して見つからないのだから初めからないのではないか……といったようなお宝の謎に答える形の真相になっていました。
「魔の山の殺人(第2回)」笠井潔
――魔女が住んでいたと言い伝えられるソルシエール村のジュリエット荘に到着したカケルとナディア。ジゼールが怪我をして以来、ジゼールとジュリアンが別居していると聞いて、ロシュフォール家の遺産を狙うジュリアンがジゼールを殺そうとしたのではないだろうか。その日の夕食の席上、ジゼールはロシュフォール家の原発を国有化することを決めたと発表する――。
連載第二回目。犯罪らしきものが仄めかされ、テロリストの目論見が砕かれます。そして新たな訪問者が……?
「死刑囚はどこだ? 死と砂時計 パート2」鳥飼否宇
――たくましい看守が番をする満月の夜だからこそ、その男は脱獄することができた……。シュルツ老はそう言った。
人間がトリックの道具としてだけ用いられる潔さ。
「女神の微笑」大倉崇裕
――後藤は杖のボタンを押した。数メートル先の自動車が爆発し、あたりはたちまち野次馬であふれかえった。……銀行強盗が爆弾を誤爆させたと思われた事件だったが、福家警部補は自動車が停まっていた場所に違和感を感じ……。
このシリーズを読むのは二度目か三度目だけれど、やっぱりコロンボや古畑にくらべて福家のキャラの弱さが気になります。むしろ犯人の老夫妻のほうに魅力がありました。
「私はこれが訳したい(2)」越前敏弥。ジェレミー・ドロンフィールド四部作のうち未訳の三・四のこと。
「月と竹の物語」三木笙子
――小間物屋「なよ竹」の依頼で礼が描いた「かぐや姫」に魅せられて、一日中絵を眺めている青年が現れた……。
ホームズ譚を思わせる奇妙な登場人物の謎。
「ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 魅惑の翻訳ミステリ叢書探訪記(2)」川出正樹
クライム・クラブについてその1。
「レイコの部屋」
今回のゲストは藤原編集室。「桃尻語訳ジェイムズ・エルロイ」ってのに笑いました。