「ロワーサイドの幽霊たち」宮内悠介
――グリーンカードの申請はあっさり終わった。それが家族が揃った最後となった。いまビンツは七十八階のオフィスにいた。「二つのタワーのあいだには何があると思う?」「広場じゃないの?」
インタビューのコメントと、前作にも登場したDX9によって、9・11を追体験することになります。SFってこういうことのためにあるんだよな、と思える作品。
「はじまりと終わりの世界樹」仁木稔
――肌の色が違う双子の姉は、偉大な祖国で反遺伝子工学派のアイドルとなるが……(袖惹句より)
「ハヤカワSFシリーズ Jコレクション 10周年記念トークショー」大森望・倉数茂・法条遙・花田智・塩澤快浩
先々月号(だったかな?)の記事を読んで以来、倉数茂・法条遙両氏の作品は気になってたところ。倉数茂のデビュー作『黒揚羽の夏』は面白かったし。倉数氏はファンタジイが好き、法条氏『リライト』は前例のないサプライズ、だそうです。
「歴史と自我の狭間で 『ゴースト・オブ・ユートピア』とSFの源流』」樺山三英×岡和田晃
対談――というよりも、SFマガジン連載作の自己解説。これはありがたい。
「『灯籠』に込めた“かなわぬ想い”」うえむらちかインタビュー
「SFのある文学誌(8)」長山靖生
「SFセミナー2012 レポート」
三島浩司インタビュー「『二足歩行兵器が最強である』という状況を作り出すためには、飛行機と大型爆弾を排除しなければならない」。この一言だけで作品が面白そうだもの。
「乱視読者の小説千一夜(19)」若島正
「書評など」
◆先月号に短篇が掲載されたシェリー・プリースト『ボーンシェイカー ぜんまい仕掛けの都市』、オラシオ・キローガ『野性の蜜』など。
「パンもゾウリムシもぐねぐねと蠕動するのだ」椎名誠
「怨讐星域(23) 遷移軌道上にて」梶尾真治
「『惑星ソラリス』理解のために[二]」忍澤勉
「ディック原作映像全作品レビュウ」縣丈弘・小山正他
「現代SF作家論シリーズ(19)川又千秋 時の渦巻――『幻詩狩り』論」トマス・ラマール
「蝶と夕桜とラウダーテのセミラミス(前篇)」籐真千歳