『革命のライオン 小説フランス革命1』佐藤賢一(集英社文庫)★★★☆☆

 タイトルにもなっている「革命のライオン」という通り名は有名なものの、見た目や声がライオンみたいだったこと以外には、ミラボーの具体的な業績と言われるとピンと来ないところがあったのですが、リーダーを持たない民衆の「頭」として奮迅する策士・軍師の面が魅力的に描かれていました。

 若きロベスピエールの心の師匠となり、三部会を女と旦那になぞらえてロベスピエールを説得する場面などは、放蕩貴族の面目躍如でしょう。ロベスピエールには早くも理想主義者らしいところが窺えています。

 本書は三部会の開催から国民議会の発足まで。

 1789年。フランス王国は破産の危機に瀕していた。大凶作による飢えと物価高騰で、苦しむ民衆の怒りは爆発寸前。財政立て直しのため、国王ルイ16世は 170余年ぶりに全国三部会を召集する。貴族でありながら民衆から絶大な支持を得たミラボーは、平民代表として議会に乗り込むが、想像もしない難題が待ち受けていた──。男たちの理想が、野望が、歴史を変える! 一大巨編、ここに開幕。(カバー裏あらすじより)

  


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