『ミステリマガジン』2012年12月号No.682【ゴシックの銀翼】

「〈無垢の博物館〉を訪ねて」山崎まどか
 小説『無垢の博物館』に出てくる博物館を作者が実際に再現。その訪問記。

【特集 ゴシックの銀翼】

「虚無への愉楽――フェイク・ゴシック」風間賢二

「ゴシックという意匠」千野帽子

「幻のゴシックミステリ『拷問館の惨劇』」三津田信三

「『夜想』復活とゴシック」今野裕一

「ゴシックな暗黒舞踏家――土方巽――」種村品麻

「見たことないものが蠢く」天野昌直

「塔と広間のある銀幕――ゴシック・映画・室町闇――」朝松健

「ゴシック小説の家事使用人からメイド喫茶へ」久我真樹
 

「幻のモデル」ヒューム・ニスベット/植草昌実訳(The Phantom Model,Hume Nisbet,1894)
 ――印象派の新進画家が理想のモデルを探して辿りついたのは?(コピーより)

「謎のメイジー」ワート・ゲラー/植草昌実訳(Mysterious Maisie,Wirt Gerrare,1895)
 ――ローラがお世話係をするお屋敷に行くと、ミス・ミューアは降霊術師なのだと、メイドのアグネスは言った。朗読する本はどれも古くて飾り文字でびっしりで、不思議なことが書いてあった。

 お屋敷で少女が体験する奇怪な出来事……という、頭から足の先までゴシックずくめな一篇。ちょっと少女趣味な感じがいい。
 

「戦慄!ゴシックちゃん」児嶋都

「『カンパニュラの銀翼』クロスレビュー」石井千湖・門賀美央子

「風切り羽の安息」中里友香
 ――名門寄宿学校でラテン語教師をすることになったシグモンド。アンブローズという生徒が、ラテン語作文で「この塀の内側で、奴が僕を骨までこなごなにすりつぶすのを止めさせて」と綴りだした。

「人魚の肉」中里友香
 ――あなたがいなくなったら僕はもうなにをしでかすかわからない。あなたは病身の妹の美羽に優しく尽くしているにすぎないのに、あなたを身内のように感じてしまったんです。覚えていますか――友人の縣を。その頃の縣は、美羽を熱心に好いていました。

 第二回アガサ・クリスティー賞受賞作『カンパニュラの銀翼』著者による新作二篇。今回の特集はこれがメイン、だったのかな。一篇目「風切り羽の安息」は、『カンパニュラの銀翼』番外編。二篇目は人魚の肉と不老不死伝説にまつわる一篇。ゴシックというよりおタンビーな二篇でした。
 

「鍵」マイクル・イネス/宮澤洋司訳

「短篇ミステリがメインディッシュだった頃」(7)「SAINT(II)&五誌競合」小鷹信光

「警部レオポルド 被害者は誰だ?」スティーヴン・デンティンジャー(エドワード・D・ホック)/小鷹信光
 

「書評など」
ルパン、最後の恋は意外と面白いらしい。クリスティーナ・メルドラム『マッドアップル』は、殺人容疑で逮捕された少女の裁判と処女懐胎にまつわる謎。ウィリアム・ピーター・ブラッディ『ディミター』は、『エクソシスト』著者によるミステリ。ヘニング・マンケル『ファイアーウォール』は、「このラストに出会うためだけでも、シリーズを通読する価値があると断言しよう」とのこと。文学寄りのロザムンド・ラプトン『シスター』、ロベルト・ボラーニョ『2666』。ノンフィクションからは山崎まどか『女子とニューヨーク』

 


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