『ミステリマガジン』2013年2月号No.684【あの探偵を追いかけて】

あの探偵を追いかけて

「三個のパイの事件」ピーター・ラヴゼイ山本やよい
 ――ピーター・ダイヤモンド警視、クリスマスの事件に挑む。(袖コピーより)

「ミック・バルー、何も映っていない画面を見る」ローレンス・ブロック田口俊樹訳
 ――スカダーとミック、ドラマの最終話の意味について語り合う。(袖コピーより)

「グローガンの店、最後の夜」ローレンス・ブロック田口俊樹訳
 ――店を閉じる決意をしたミック、その時スカダーは……。 (袖コピーより)
 

「あの探偵の今が知りたい!」加賀山卓朗・香山二三郎堂場瞬一法月綸太郎・福田和代・山崎まどか吉野仁
 昔シリーズを読んでいたというわけではないので、今回の特集は感慨がないのですが、エッセイで紹介されている作家を初紹介のような気持で眺めました。法月氏の紹介している「オフビートを極めた稀代の怪作」リチャード・ホイト『シスキユーの対決』が気になります。

ローレンス・ブロック・インタヴュー」
 インタビュアーは翻訳をしている田口俊樹氏。

「追悼 丸谷才一成田一徹・石上三登志

「座談会 映画と私」石上三登志×逢坂剛×山野辺進
 追悼にともない昔のものの再録。例によってお茶目な逢坂氏。
 

アルモニカ・ディアボリカ(2)』皆川博子

「最高にいかした死体」クレイグ・ライス/宮澤洋司訳
 ――天使のジョーのいとこが殺人容疑で捕まった。マローンは関係者に話を聞きに行く……。

「短篇ミステリがメインディッシュだったころ(9) AHMM(II)」小鷹信光

「一瓶のワイン」ボーデン・ディール/小鷹信光(A Bottle of Wine,Borden Deal)
 ――出て行く妻と一緒に、新しい男が引越しの荷物を取りにやってきた。夫は年代者のワインを振舞うが……。

 何というか「特別料理」にも似たサスペンスを感じます。しかし旦那のところにわざわざ来るかなあと思ってしまうのはミステリに毒されているのだろうな。
 

「成功報酬」ドナルド・マーティン/高橋知子(Don't Rock the Boat!,Donald Martin Honig)
 ――釣りの最中に現れた銀行強盗は、カヌーを漕いで向こう岸まで行けというが……。

 サスペンスの緊迫感ととんち噺のような結末を持った、不思議な魅力の作品。読んでいる最中はどうやって逃げるかだけに関心が行っていましたが、たとえば殺人犯などではなく銀行強盗だということにちゃんと意味があったんですね。
 

「書評など」
◆『逆転立証』ゴードン・キャンベルの、「この弁護の面白さは、被告リタが犯人ではないと主人公たちにも読者にも断言できないことにある」という評に、興味を惹かれました。アラン・ブラッドリー『サンタクロースは雪のなか』は、シリーズ第四弾。以前にも面白そうと思っていたのにまだ未読。この機会に読もうかな。幻想・主流文学寄りの『世界が終わるわけではなく』ケイト・アトキンソン新本格メフィスト系作家のデビュー前の作品を集めた『0番目の事件簿』も気になるところ。丸谷才一『快楽としてのミステリー』には、瀬戸川猛資らとの鼎談も収録されている模様。評論・書評系からは、佳多山大地新本格ミステリの話をしよう』も。

「迷宮解体新書(60)長沢樹」村上貴史 『消失グラデーション』

 


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