「マイ・ベスト007アンケート」
で、最新作『スカイフォール』が堂々の第一位。これは本当にすごいことだと思います。
小山正氏のエッセイにより、「獲物」のピーター・フレミングがイアン・フレミングの兄だと知る。
007は映画第一作の『ドクター・ノオ』があまりにしょぼかったので、それをテレビで見て以来見ていなかったのですが、面白くなるのは第二作以降らしい。なにぶん未見なので、内容に踏み込んだエッセイや評論はまたの機会に。
「ミステリちゃんが行く!(7)宮部みゆき」杉江松恋
最新作『ソロモンの偽証』は「アメリカの陪審員裁判のような法廷を書きたかった」ために中学生が模擬裁判を開くという展開を導入したという内容に惹かれます。
「書評など」
◆リヴァイアサン三部作完結編『ゴリアテ』、クリス・プリーストリー『ホートン・ミア館の怖い話』、有栖川有栖『論理爆弾』、伊坂幸太郎『残り全部バケーション』のほか、安萬純一『ポケットに地球儀を』はギャグっぽい味が気になります。『ボウエン幻想短篇集』は、エリザベス・ボウエンの短篇選集。風間賢二氏はいつも以上に文学寄りの発言をしていますが、そんなに構えなくても怪奇幻想小説好きには充分面白いと思うのですが。
「短篇ミステリがメインディッシュだった頃(10) MSMM(I)」小鷹信光
「MSMM」とは「マイケル(マイク)・シェーン・ミステリ・マガジン」の略。ブレット・ハリデイによる探偵マイク・シェーンものを看板にした長命のダイジェスト・サイズ版ミステリ誌。
「手ぬかりなし」ジャック・リッチー/小鷹信光訳(The Pickup Man,Jack Ritchie,1966)
――今日も給油してゆく車はない。おれはエンジンをかけて、走り出した。ワゴンの残骸のそばで車をとめ、茂みから茶色い包みを取り出した。翌朝、拳銃を構えた警官たちがなだれこんできた。「おまえが身代金を拾う現場が目撃されていた」
何となく都会のこじゃれた感じ、というイメージのあったジャック・リッチーだったので、道路と砂漠だけの土地が舞台というところに意表を突かれました。現実にうまくいくかどうかを考えたりしてはいけない、アイデア作家の面目躍如たる一篇でした。
「殺人者からの贈り物」タルメッジ・パウエル/高橋知子訳(Murderer's Gift,Tulmage Powell,1959)
――脇にライフルをたずさえた男が、細道からロブに声をかけた。「親父さんはどこだ? 親父さんは人を殺した。法律がさだめる扱いを受けなくてはならん。おまえさんの将来のためなんだ」
シリアスな顔してギャグを言うような切れ味がたまりません。
「ミステリ・ヴォイス in UK」63「The Killing」松下祥子
デンマーク製の話題のドラマ「The Killing」について。