『リヴァイアサン クジラと蒸気機関』スコット・ウエスターフェルド/小林美幸訳(新ハヤカワSFシリーズ5001)★★★☆☆

 『Leviathan』Scott Westerfeld,2009年。

 オーストリア皇太子夫妻が「毒殺」された世界――遺伝子操作によって機械ではなく生物を発達させたイギリス等と、蒸気機関を発達させたドイツ諸国。

 命を狙われ逃亡する皇太子夫妻の息子アレクサンダー(アレック)と、空に憧れ性別を偽って入隊したデリン・シャープが、ふとした偶然から奇妙な友情をはぐくみ始めます。

 ハヤカワ新書版の新シリーズ第一弾は、改変歴史スチームパンク三部作の第一部です。今のところはこれといって特殊な世界観が活かされるでもなく、生物や機械のガンダムパトレイバーのようなものに乗って楽しく飛んだり暴れたりしているようなシーンがメインです。

 今後、政治家たちの思惑やバーンズ博士の卵の正体などが関わってきて面白くなりそうなところで第一部は幕。次巻以降に続きます。

 1914年、ヨーロッパではふたつの勢力が拮抗していた。遺伝子操作された動物を基盤とする、英国などの〈ダーウィニスト〉と、蒸気機関ディーゼル駆動の機械文明を発達させたドイツら〈クランカー〉。両者の対立は深まり、オーストリア大公夫妻の暗殺につながった……。両親を殺した一派に追われる公子アレックと、空への憧れから男装し英国海軍航空隊に志願した少女デリン。ふたりの運命は、やがて巨大飛行獣リヴァイアサンで邂逅する! 奇妙なテクノロジーが彩る第一次大戦下の世界で、少年と少女の成長と絆を描く、ローカス賞受賞の冒険スチームパンク三部作、開幕篇。(裏表紙あらすじより)

 


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