『ネメシスの杖』、『キン肉マン』43・44、『大東京トイボックス』10、『純潔のマリア』3、『名探偵マーニー』2、『ひとりぼっちの地球侵略』4

ネメシスの杖』朱戸アオ(講談社アフタヌーンKC)
 急死したその患者には伝染病の疑いがあったが、病院も遺族も頑として口をつぐんでいた。患者安全委員会・阿里玲が調査を開始すると、シャーガス病の患者ばかりが内密で検査に訪れていたことが判明した。患者は過去にシャーガス病の食害事件を起こした企業の関係者ばかりだった……。

 社会派サスペンスに刑事ドラマのようなバディものの魅力も盛り込まれたボリュームたっぷりの作品です。自称罹患者が多発する不可解な事件の謎や、食害や保身・隠蔽やシステム改善といった社会的問題もさることながら、エキセントリックな隻腕の科学者・紐倉やことなかれのように見えて実は熱くてやり手の室長といった一癖も二癖もある登場人物が、物語をぐんぐん牽引して、一冊で終わってしまうのはもったいない。
 

キン肉マン』(43)(44)ゆでたまご集英社ジャンプ・コミックス)
 絶体絶命のブラックホールの耳に、どこからか声が聞こえてきた。「勝たねばならないんだろ……私とキミにしかできないアレしかない」……からくも勝利をつかんだブラックホールに続き、いよいよバッファローマンとスプリングマンが完璧超人たちに挑む。/悪魔の力が覚醒したバッファローマン。続いて戦うのは、ロビンマスクVSネメシス、ウォーズマンVSポーラマン。

 ペンタゴンって正義超人だったのか。しかもアメリカの超人だから「ヘイ」なのね。キン肉マンとのからみが少ないこともあって、どんな超人なのかがいまいちわからなかったペンタゴンですが、今回はけっこうしゃべってくれてます。そしてバッファローマンとスプリングマン。デカとチビのコンビはやっぱかっこいいです。ロビンがまさかの敗戦――ということは、ウォーズマンの活躍が期待できそうです。
 

大東京トイボックス』(10)うめ(幻冬舎バーズコミックス)
 卜部に撃たれ、ソリダス旧開発室に閉じ込められた太陽。卜部の真の狙いにいち早く気づいた仙水は、遙かドイツからソリダス内のコンピュータに侵入し、太陽を救い出そうとする……。

 『放浪息子』『青い花』『純潔のマリア』そして『大東京トイボックス』、と、好きだった漫画の最終巻が続く。広くゲームという枠を離れて、組織・製作・売れるものと面白いもの、社会・政治・生き方・仕事と作りたいもの、妥協点と越えては行けない点、等々、さまざまな問題に切り込んだ熱くて濃いドラマでした。
 

純潔のマリア』(3)石川雅之講談社アフタヌーンKC)
 ミカエルによりエゼキエルの変じた槍で射抜かれたマリア。ビブの助けにより何とか一命を取り留めた。身を寄せる魔女の家に、ジョセフも駆けつけたが……。

 2015年に、続きなのか番外編なのか別物なのかはわかりませんが、巻末に予告が載っていました。マリアが魔女でなくなってしまった(またはしまいそうな)展開なだけに、直接の続きではなさそうですが。
 

名探偵マーニー』(2)木々津克久秋田書店少年チャンピオン・コミックス)
 file14「虫のしらせ」突然ゆりかの気を引きたがり始めたおじいちゃん。15「NTR」恋人のいる女性を寝取る癖のある男。17「天」D組の舞城天のおじいちゃんの周りをうろつく不審者。18「マジシャン」どんなに頼まれてもマジックを見せようとしない、かつての天才マジシャン。……

 白眉は巻末の「マジシャン」です。もともとスパッと潔く終わり余韻を残すような形の作風の『マーニー』なのですが、この作品では最後の一ページに怒濤のごとく詰め込まれた台詞の嵐が、マーニーたちの昂奮と感動をそのまま表しているようで、これほど説明的なのに感動的な解決編は読んだことがありません。それもひとえに、驚くほどのシンプルさと気の遠くなるようなタネを持ったマジックの力でしょう。
 

『ひとりぼっちの地球侵略』(4)小川麻衣子小学館ゲッサン少年サンデーコミックス
 アイラの祖母から「真実を見定めなければならない時が来る」と忠告を受けた岬一は、10年前に両親を殺したのは大鳥先輩だったと凪から告げられる。アイラの祖母から渡された鏡の力で、岬一は過去に飛ぶ……。

 ひとりぼっちのひとりぼっちたる所以が明らかにされました。ほんとうにひとりぼっちだったんですね。けれどそうなると今後どうなってゆくのか。侵略宇宙人VS先輩たちといった単純な話になるとも思えないし。凪もどうなるのでしょうか。
 

      


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