『ミステリー・ゾーン DVDコレクション』6・7・8(アシェット)

第6号「熱病」「白い雲の果て」「死相」

「熱病」(The Fever,1960.1.9)……何気なくスロットに入れた一枚のコインが当たり、生真面目な男はギャンブルに取り憑かれる。妻の制止も聞かず、男は……。

 ビギナーズ・ラックとギャンブル熱を扱った普遍的な一話ですが、スロットマシーンがどこにでも現れるようになる、という表現方法が緊迫感を削いでしまっています。
 

「白い雲の果て」(The Last Flight,1960.2.5)……第一次大戦の戦闘機パイロットであるウィリアム・デッカーが着陸したのは、「進化」した機体の置かれた空軍基地だった。

 リチャード・マシスン原作・脚本。臆病な人間が、変わってしまった歴史を正すチャンスをもういちど与えられる――タイムスリップやループものではお馴染みのテーマが扱われています。
 

「死相」(The Purple Testament,1960.2.12)……前線で戦うフィッツジェラルド中尉は、死ぬ運命の人間の顔に光が見えるようになってしまった。

 
 

第7号「平和の園」「めぐりあい」「疑惑」

「平和の園」(Elegy,1960.2.19)……三人が乗る宇宙船が不時着したのは、地球とそっくりの星。ただしその風俗は二百年前のものであり、誰もが人形のように固まっていた。

 チャールズ・ボーモント原作・脚本。エースのファイブカードが揃っていたり、ミス・コン優勝者がぶさいくだったり、結末を知ってから思い返すとニヤリとなりました。
 

「めぐりあい」(Mirror Image,1960.2.26)……雨で遅れるバスを待っていたミリセントが到着予定をたずねると、駅員から「何度も同じことを聞くな」と言われてしまう。聞いたのは初めてなのに……。

 ナレーションで「分別のある人間」とわざわざ断っているわりに、無根拠に結論に飛びつくヒステリー症のように描かれているのがうまくありません。主演のヴェラ・マイルズはヒチコック作品でもお馴染みの女優さん。
 

「疑惑」(The Monsters Are Due On Maple Street,1960.3.4)……凄まじい音と光に襲われたメイプル通りからは電気が消え、電話が通じず、車のエンジンがかからなくなる。有志が町に知らせに行こうとするが、一人の少年がそれを止めた。「宇宙人に閉じ込められたんだ。宇宙人は何年も前から人間のなかに紛れて様子を見てた。本で読んだんだ」

 魔女狩りの恐怖と愚かさを描いた傑作。「ミステリー・ゾーンだからです」という結びの決めぜりふが、「これはミステリー・ゾーンだけに起きる現象ではありません」と変更されているのがいっそう効果的です。
 

第8号「夢の中に消えた男」「ウォルター・ジェームソン氏の生涯」「人間という名の動物」

「夢の中に消えた男」(A World of Difference,1960.3.11)……アーサー・カーティスは気づくと映画のセットのなかにいた。人々は彼をジェリーと呼び、演技を続けるように頼むのだった。どうやら自分は飲んだくれの映画俳優であり、カーティスとは役名であるらしい……。

 クロージング・ナレーションからすると、映画の撮影こそが現実であるようです。現実世界で落ちこぼれた人間が逃げ出す夢の世界が物悲しい作品でした。
 

「ウォルター・ジェームソン氏の生涯」(Long Live Walter Jameson,1960.3.18)……歴史を見てきたように語るウォルター・ジェームソン教授の授業は人気があった。見た目が若々しいままのジェームソン教授を不審に思い、同僚の教授が問いつめたところ……。

 チャールズ・ボーモント脚本。歴史書のなかの写真との一致、年齢を訊かれてプラトンを指す機知、老嬢を「ロレッタ」だと気づく驚きなど、月並みながら心をつかむ場面の連続でした。
 

「人間という名の動物」(People Are Alike All Over,1960.3.25)……火星に不時着したコンラッドが宇宙船の外に出ると、そこには人間とまったく同じ火星人たちがいた。同じ人間だということにほっとしたコンラッドだったが……。

 「催眠術」や「心を読んだ」という台詞から想像したのとは違った結末でした。カーテンの向こうに窓がないという事実に、見よう見まねの模倣に関するリアルさを感じました。
 

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