『アフタヌーン』2014年6月号、『Nemuki+』2014年5月号、『青空エール』15

月刊アフタヌーン』2014年6月号(講談社 今月は四季賞受賞作掲載です。

「我らの女神さまっポスター」&「コメント集」五十嵐大介市川春子岩明均木村紺鶴田謙二ほか
 『ああッ女神さまっ』最終回記念。連載作家による女神さまイラスト集。カラスヤサトシのイラストが破壊力ありすぎます。
 

おおきく振りかぶって』110「埼玉県大会11」ひぐちアサ
 ――マウンドで転んだのを心配された三橋だが、歩幅を修正した関係で滑っただけだった。西浦の攻撃、それぞれの役割をきっちりと果たす栄口、水谷、阿部。そして打順は三橋に……。

 しばらく前から感じていることですが、一人一人が成長していて、水谷母でなくともうれしくなります。そして三橋が投手としてだけではなく、打者としての成長も見せられるか――というところで次号は休載して次回は8月号だそうです。
 

『思春期シンドローム』(16)赤星トモ
 ――大学時代の後輩からメールが届いた花ちゃんは浮き足立つが……。

 先生の話はいらないのに……最後に高校生との対比になっているのはわかりますが。今回はさほど心に響くエピソードがありませんでした。デリカシーのない男子にいらだつ症例4「宇宙人」
 

『マイボーイ』(2)木村紺
 ――トレーナーとなった響は、さっそく佐藤玲(あきら)のファイトスタイルを変えさせる。やがて前回の試合から日も経たないというのにさっそく試合が組まれることに。

 今のところまだ「面白いッ!」というところまでは行ってません。『神戸在住』や『からん』のような人間ドラマは今後ということでしょうか。『巨娘』みたいなハチャメチャ路線ではないと思うのですが。
 

げんしけん 二代目』99「妹受験II」木尾士目
 ――受験に出てきた吉武妹。「つるつる」の波戸くんを狙ってます。今夜は吉武の部屋に泊まり、受験に備えることに。

 吉武妹のパートは完全に変態回。波戸は毎日スーのごはんを作ってあげているそうです。矢島に指摘されるまで迂闊にも気づきませんでしたが、波戸とスーは男女なんですよねえ。
 

ヒストリエ』85「メランティオス・I」岩明均
 

『冒険エレキテ島』(5)鶴田謙二
 ――エレキテ島の探索を始めるみくら。飛行機はエンジンまで浸水してしまった。

 ひさびさの連載再開。次回は再来月の8月号。
 

宝石の国』19「新しい手」市川春子
 ――月人と孤軍奮闘するアンタークチサイトを助けることができなかったフォス。「新しい手」にもどうすることもできなかった。

『白馬のお嫁さん』庄司創
 ――一つ屋根の下で下宿することになった氏家と「生む男」の四人。さっそく部屋割りでもめることに。
 

『アンダー3』(1)榎本俊二
 ――「尿メチャクチャスプリットじゃん」「なんだオマエは」

 ワンダー3のもじりということはこの3人がレギュラー? 最後のコマの爽やかさにフイタ。
 

「再来」門野民緒
 ――その年の夏はセミが非常に多く、そのどれもが鳴き声を上げなかった。村の人々はそれで二十二年ぶりに祭りを開くのだと知った。鉄造が刀を鍛えている間に、ひさは消えた。四十年後、ふたたび祭りの季節がやって来た。

 四季大賞受賞作。生贄を依代にして首を落として神を殺し、数十年後にまた再生した神に生贄を……という民俗的な儀式のサイクルに巻き込まれてしまった、鍛冶と妻ですが、無用な言葉は費やされません。台詞はなくただただ絵だけで繰り広げられる儀式に圧倒されます。いえ、「絵だけ」どころか、実は絵ですら描かれていません。現在の怪物との死闘は、あるコマをきっかけに、明確な境なく四十年前の死闘へと切り替わります。そしてそのままふたたび現在に戻るのです。妻の顔を見た鉄造が何を思い、どう戦ったのか、は、読者の目には明らかにされず、現在の戦いの様子は四十年前の戦いから推しはかるしかありません。にもかかわらず、なぜか、わかるのです。歯は人の歯なのに口が裂けている怪物の口の描写が秀逸でした。新二郎の狂気をあますところなく伝える笑顔にもぞっとしました。
 

マージナル・オペレーション』12「襲撃」芝村裕吏キムラダイスケ
 ――村を訪問した帰り、何者かに襲撃されたアラタたち。アラタは戦場でも冷静に判断することができるのか……。
 

「ウムヴェルト」五十嵐大介
 ――宇宙での労働力確保のための研究施設から実験動物が逃げ出した。開発者のオクダは「彼女」の追跡を面白がっているような素振りを見せる。「話せない」イコール「言葉を理解する能力が無い」ではない。本物の銃に触ったことはないが、使用法の教材ビデオは見せたことがある。

 読み切り作品。漫画なのだから音など伝わらないし、軍隊との戦いに躍動感こそありますがそれは飽くまで動きでしかないにもかかわらず、「蛙の感じる宇宙」が伝わってくるような気がします。それはおそらく、植物コロニー、犬と夜の闇、飛行中の蜂に寄ったカメラアングル、虫から見た赤ん坊、少女にとまる虫を見る視点と虫を見る少女の視点、ゴミゴミしたチャイナタウン、いろいろな視点が混在しているからだと思います。
 

『コトノバドライブ』4「旧道の先のこと」芦奈野ひとし
 ――休みの日にバスに乗って旧道の写真を撮りに来たすーちゃん。旧道の先っぽにはよくある「地の果て食堂」みたいな食堂のご主人に誘われます。
 

『天の血脈』(24)安彦良和
 ――学校を辞めずにすんだ安積だが、嬉田先生は責任を取って転任することに。その後安積は、内田良平に招かれ孫文の話を聞き、また無政府主義者となった大杉栄と再会する。
 

『Nemuki+(ネムキプラス)』2014年5月号(朝日新聞出版)

「血糊先生と指紋ドロボウ」岩崎ネリ
 ――玉依メイは、つるつるしたものに右手で触れることが嫌い。同級生の雪路千鳥は雪路血糊というペンネームのミステリー作家。『謎の指紋ドロボウ』という自作を渡される。

 ミステリーで指紋といえば証拠、ですが、この作品は証拠や犯罪とは一切無関係。指紋が盗まれてしまいます。指紋だけが消えるスマートな盗み方ではなく、指先が黒く塗りつぶされたように消えてしまうのがグロテスクです。わりと可愛いくてダークな感じの絵と、ギャグのギャップが不思議なおかしみを生み出していました。
 

『いついたるねん』「約束」オガツカヅオ
 ――看護師の畑山は自分が身体から抜け出していることに気づく。身体は勝手に動き出し、自分は誰にも気づいてもらえない。定期検診に来ていた明日香には「見えた」ことから、相談を受ける。

 幼なじみの夫婦が戦時中の幼いころにしていた「約束」に巻き込まれてしまいます。「大人は約束やぶってばっかりや/なんぎやでまったく」というノエの言葉が重いです。こんな約束であっても、子どもにとっては(そしてノエにとっては)約束なのでしょう。意味よりは響きのよさを採用されたと思しき、「わたしの小屋をかじるなだれぞ」というグリム童話からの引用が、まさに呪文のようにいつまでもぐるぐると頭のなかを回って離れません。次号7月号には掲載されないようです。
 

『未知庵のきなこ体操』「原君と愛子ちゃん」未知庵
 ――清楚で名をはせる愛子ちゃんは、お鼻がつまって息苦しいため、お下品だけど鼻をほじほじしたところ、まるで黒真珠のような……。

 しっぽの長いあれは猫なのか犬なのか難しいところです。犬のようになってしまった原君を愛子ちゃんがしっかり目撃するのが、犬のように走っている姿ではなく、ただ犬と戯れて踊っているだけの場面なのがツボでした。
 

『ミルトキク』(2)夏江まみ
 ――注連縄の取れた祠から現れたお稚児さんを元の祠に戻すため、七瀬と淡はグリコをしてお稚児さんを祠まで導く。
 

青空エール』(15)河原和音集英社マーガレットコミックス)
 ――水島にふられて楽器が吹けなくなってしまったまるちゃん。つばさも最終学年となり、新一年生も入部し、全国を目指す。

 せっかく山根さんの妹が入ったのに、瀬名以外の下級生とはまるで絡まないまま一年が過ぎてしまいました。でも新一年生とはもうちょっと絡みそうです。まるちゃんは登場人物紹介欄でもいまだにまるちゃんのままですね。
 

   


防犯カメラ