『深い疵』ネレ・ノイハウス/酒寄進一訳(創元推理文庫)★★★★☆

 『Tiefe Wunden』Nele Neuhaus,2009年。

 ドイツの警察小説。

 さすがに視点が多すぎて読みづらいと感じたのは、あるいはこちらが年を取ったのか。

 ただの思い込みに基づく容疑者を「推理」と断言する刑事さんたちに違和感を感じるのは、謎解きミステリの読みすぎだからでいいとして。

 ホロコーストを生き残り、アメリカ大統領顧問をつとめた著名なユダヤ人が射殺された。凶器は第二次大戦期の拳銃で、現場には「16145」の数字が残されていた。司法解剖の結果、被害者がナチス武装親衛隊員だったという驚愕の事実が判明する。そして第二、第三の殺人が発生。被害者の過去を探り、犯罪に及んだのは何者なのか。ドイツで累計200万部突破の警察小説シリーズ開幕。

 ――というのがカバーあらすじ。

 殺されたユダヤ人が実はナチだった!とはどういうことかとページをめくる手が止まりません。結論からいうと、なりすましと復讐という意外性のないものでしたが。

 復讐者が復讐しやすい者から殺していったせいで権力者が最後まで残り、そのせいで権力者たちの保身目当てに殺されなくていい人たちまで殺されてしまい、ややこしいことになってしまいました。でも部外者の警察としては関係者が正直に話してくれないことにはどうにもならないのはいたしかたのないことでしょう。

 主人公コンビがステレオタイプで、アメリカの捜査ドラマでも観ているよう――というのは本書のばあい欠点ではなく長所ですね。すいすいぐいぐい読めました。

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