『All You Need Is Kill』桜坂洋(集英社スーパーダッシュ文庫)★★★★☆

 ループもの。ギタイと呼ばれる生物(?)を倒す一日を繰り返すようになってしまったキリヤ・ケイジ。何度も、何度も、何度も、戦闘を繰り返し、そのたび仲間を殺され、自分も死に、戦女神リタに助けられ……ギタイの正体とループの理由(植民惑星開発のためのロボットのようなもの/サーバとなっているギタイが壊されても過去にデータを送って弱点を克服して何度も侵略する機能をもっている、そしてそれに巻き込まれた=通信を切断せずにギタイ・サーバを倒した人間もループしてしまう)から導き出される残酷な決断。

 「出撃なんて、実力試験みたいなもんじゃない?」敵弾が体を貫いた瞬間、キリヤ・ケイジは出撃前日に戻っていた。トーキョーのはるか南方、コトイウシと呼ばれる島の激戦区。寄せ集め部隊は敗北必至の激戦を繰り返す。出撃。戦死。出撃。戦死―死すら日常になる毎日。ループが百五十八回を数えたとき、煙たなびく戦場でケイジはひとりの女性と再会する…。期待の新鋭が放つ、切なく不思議なSFアクション。はたして、絶望的な戦況を覆し、まだ見ぬ明日へ脱出することはできるのか。

 


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