『ミステリーゾーン』28・29(アシェット)

ミステリーゾーン』28「こびと虐殺」「悪意の果て」「たそがれの賭け」

「こびと虐殺」(The Little People,1962.3.30,ep93)★★★★☆
 ――艇長とクレイグは隕石を避けて惑星に不時着したが、クレイグの文句は募るばかり。やがて小さな森や川と文明の痕跡を見つけた。かねてから支配欲に取り憑かれていたクレイグは、こびとたちに対し神のように振る舞おうとする。

 あるいは単なる予算の都合なのかもしれませんが、こびとの姿を見せない演出が成功しています。目に見えぬほどのこびとたちの小ささを意識させておいて、最後に○○の姿を見せたのも効果的でした。クレイグは狂人のように描かれていますが、旧約の怒れる神にも似ています。
 

「悪意の果て」(Four O'clock,1962.4.6,ep94)★★★☆☆
 ――オリバー・クラングルは「悪人」を垂れ込んで自己満足する男だった。午後四時に最後の審判が下ると信じていた。

 前話に引き続いて、自らを神に等しいと信じる男の物語です。悪人が50センチに縮むという具体的な発想が狂気に満ちていて、狂人の気持ち悪さがぞくぞくと伝わってきました。あれだけ「50センチ」「50センチ」と何度も前フリされると結末は予想通りでしたが。
 

「たそがれの賭け」(The Trade-Ins,1962.4.20,ep96)★★★★☆
 ――若さを売る、新しい生命を売る会社を訪れたホールト夫妻は、若い肉体に記憶を移し替える手術を受けようとするが、全財産を合わせても一人分の手術代しかなかった。

 敢えて挟まれたギャンブルのシーンが、演技のうえでも人情話のうえでも、見せ場であり山場ですね。そして手術後の若い肉体と歓喜、何かに気づいた衝撃、と、単純なエピソードながらメリハリの光る内容でした。
 

ミステリーゾーン』29「ほら吹きフリスビィ」「生きている人形」「栄光ある引退」

「ほら吹きフリスビィ」(Hocus-Pocus and Frisby,1962.4.13,ep95)★★★☆☆
 ――雑貨屋店主フリスビィは大の法螺吹き。信じる者など誰もいなかったが、ガソリンを入れに来た二人連れだけは興味を示した。フリスビィを地球一の頭脳の持ち主を信じた宇宙人が、連れ出しに来たのだった。。。

 久しぶりに安っぽい作品でした。まあこれは意図した安っぽさだと思うので、これはこれでよかったです。
 

「生きている人形」(The Dummy,1962.5.4,ep98)★★★☆☆
 ――腹話術師のジェリー・アジスンは酒に溺れていた。人形のウィリーが生きているというのだ。ウィリーは箱に閉じ込め別の土地でやり直そうとするが、ウィリーの声がどこまでも追いかけてくる。

 実際に演じているわけではなく吹替えに過ぎないのですが、それでも腹話術のやりとりが楽しかったです。ただしウィリーの声に追われる狂気の演出が単調で、中盤は退屈でした。それまでが単調だっただけに、結末に意外と意表を突かれました。
 

「栄光ある引退」(The Changing of the Guard,1962.6.1,ep102)★★★☆☆
 ――ファウラー教授は長年教師を務めてきたが、若い人間に道を譲るよう引退を勧められる。これまでの授業のやり方を後悔し、拳銃を持ち出し、死を決意するが、そのとき授業の鐘が鳴る……。

 絶望しかけていた教授に、今は死んでしまったかつての教え子たちが、感謝を伝える、ありきたりといえばありきたりですが、それだけに普遍的な感動をもたらします。山羊髭教授がまたホントにいい先生っぽいんです。
 

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