『青銅の悲劇 瀕死の王』(上・下)笠井潔(講談社文庫)★★★☆☆

 矢吹駆シリーズ日本編第一作。

 小森健太朗氏が解説でフォローしていますが、それにしても毒をどうやって盛ったかでえんえん上下巻はしんどすぎました。

 しかも矢吹駆シリーズ本篇とは違い、取り上げられているのは思想ではなくミステリ論(後期クイーン問題)なのです。笠井氏の仕事は評論とリンクしているので、そういえば評論でもその話題を問題にしていたな……と思い出しましたが、思想以上に一般向けではありません。わたしにはかなりどうでもいい話題でした。。。

 悲劇シリーズは三部作が予定されているようですが、第一作の本書で本歌取りされているのは『X』ではなく『Y』――となると、シリーズ三作目は『Z』ではなく『レーン最後の事件』となるのでしょうか。

 昭和の最期が迫った一九八八年末、神職を受け継ぐ旧家の老当主、鷹見澤信輔は冬至の神事の後、宗像冬樹とナディア・モガールも招かれていた会食の席上、トリカブト毒による毒殺未遂で倒れた。だが、それは鷹見澤家を襲う悲劇のはじまりにすぎなかった。矢吹駆シリーズ日本篇第一作完結篇。(カバー裏あらすじより)

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