『ミステリマガジン』2015年3月号No.709【追悼P・D・ジェイムズ】

 今月から隔月刊に。

「追悼P・D・ジェイムズ」

「PD私の一冊」山崎まどか若竹七海ほか

「P・D・ジェイムズと死者の代弁者」宮脇孝雄
 『女には向かない職業』とコーデリアについて、翻訳者らしく英語原文を読むからこそ見えてくる効果について指摘したエッセイです。

「P・D・ジェイムズと『死の味』」若島正
 

「小特集ミステリフェスに行こう」
 各国のミステリフェスの紹介。北欧と日本における「ミステリと『社会性』」についての反応の違いが興味深い。
 

「小特集 追悼・小笠原豊樹
 詩人(岩田宏)であり翻訳者でもあった小笠原豊樹への、池上冬樹新保博久刈谷正則(編集者)追悼エッセイ。

「夜」レイ・ブラッドベリ小笠原豊樹(The Night,Ray Bradbury,1946)
 ――ある夏の夜のこと。8歳の少年ダグは母親とともに少しだけ夜更かしをしていた。貰ってきたアイスクリームを手に、組合の会議に行った父親と、友だちと遊びに出かけた12歳の兄スキッパーの帰りを待つ。だが、むし暑い夏のくらやみを眺めているうちに、ふと、正体不明の不安にかられ――(作品解説より)

 追悼特集より、小笠原訳ブラッドベリ。子どもが感じることのできる夜や暗闇に対する不安をそのまま怪奇仕立てにしてしまった、ブラッドベリだからこそ書けたナイーブな作品です。
 

「ミステリ・ヴォイスUK(87)赤毛連盟」松下祥子
 イギリスでは赤毛が差別や揶揄の対象にまでなっているのだとか。

「迷宮解体新書(85)道尾秀介」村上貴史
 

「書評など」
ウィリアム・ケント・クルーガー『ありふれた祈り』は、「少年期の多感、試練と成長を鮮やかに描いたミステリ」。甘ったるい話なのかビターな話なのか、気になるところです。キリル・ボンフィリオリ『チャーリー・モルデカイ』シリーズが突然四冊刊行。ジョニー・デップ主演で映画化なのか。

『古書収集家』グスタボ・ファベロン=パトリアは、水声社〈フィクションの楽しみ〉シリーズの一冊。

知念実希人『仮面病棟』は、島田荘司による「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」作家の新作。

黒史郎『怪談撲滅委員会 幽霊の正体見たり枯れ尾花』

ディレイニー『ドリフトグラス』は短篇集。

『ラスト・ワン』金子達仁は、義足の陸上選手を追ったノンフィクション――なのですが、「最後の一行」フィニッシング・ストロークが凄いらしい。

◆新保教授の復刊・新訳レビューはクイーン『災厄の町』越前敏弥訳
 

「現代犯罪と本格ミステリ〜クイーン『ギリシャ棺の謎』論争について〜[前編]」権田萬治

  


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