『ミステリー・ゾーン DVDコレクション』40・41(アシェット)

ミステリーゾーン』40「宇宙飛行士の幻想」「禁断の遊星」

「宇宙飛行士の幻想」(The Parallel,1963.3.14,ep113)★★★☆☆
 ――ゲインズ少佐は人間衛星アポロ10号に乗って地球を周回する予定だったが、打ち上げの途中で宇宙船ごと行方不明になり気を失ってしまう。地上に戻って来たゲインズはなにが起こったのかわからないまま妻と娘の待つ家に戻った。家には見覚えのない柵が……。

 原題どおりのパラレルワールドものです。パラレルワールドものとしては、ただ単に別の世界に行ったというだけの素朴なものですが、何が違うかわからないけれど本人とはどこかが違う――と親しい者から思われてしまうショックと恐怖には普遍的なものがあります。ゲインズ少佐とコナー大佐が説教臭いSF観を披露するのが蛇足でした。
 

「禁断の遊星」(Probe 7, Over and Out,1963.11.29,ep129)★★☆☆☆
 ――7号宇宙船で遊星に不時着したクック大佐は、地球と通信を試みるが、開戦間近な地球では遠い星のトラブルに構っている余裕はなかった。やがて大佐は、宇宙船に忍び込んだ人間の女らしき生き物を発見する。

 核戦争で滅びた地球を教訓に、たった二人で争いのない新しい世界を目指す――という他愛のない内容でした。タイトルの「禁断」とはつまりエデンのあれでした。
 

ミステリーゾーン』41「四つ目の願い」「幻の騎兵隊」

「四つ目の願い」(I Dream of Genie,1963.3.21,ep114)★☆☆☆☆
 ――冴えないサラリーマンであるジョージ・ハンレーは、憧れの女性への贈り物に骨董店でランプを買ったが、渡すことすら出来なかった。帰宅したジョージの前にランプの精が現れ、昔とは違い願いを三つではなく「一つだけ」叶えてやると言う。憧れのアンと結婚できたとしたら――。あるいは――。またあるいは――。

 この手のifもの或いは妄想ものは、それが現実ではないとわかっているだけに安易に作られると興醒めです(その最たるものが伏線も必然性もないタイプの夢落ちでしょう)。三つの候補のなかから一つに絞れず、最終的に考えついた四つ目の願い事は、確かに予想外ではありましたが、ifエピソードのつまらなさを覆すほどの意外性はなく、むしろしらけてしまう発想でした。
 

「幻の騎兵隊」(The 7th Is Made Up of Phantoms,1963.12.6,ep130)★★★☆☆
 ――かつてカスター将軍隊の斥候がスー族を発見した地点。そこに戦車で斥候に来た軍人三人は、インディアンのテントを見つけた。昔の騎兵隊の水筒やインディアンの声が聞こえた気がする――。思わず銃撃をすると、インディアンの馬が走っているのが見えた……。このままここにいると、自分たちはカスター将軍の部隊のように、全滅してしまうのではないか……。

 戦国自衛隊を連想させるような設定ですが、戦国自衛隊のように戦うことはないまま、三人は歴史の露と消えました。少しずつ少しずつ段階を踏んで過去が身近に迫ってくる過程に、恐怖ではなく好奇心をくすぐられます。地味ではありますがよい作品でした。
 

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