『1518! イチゴーイチハチ!』1、『good!アフタヌーン』2015.5、『トクサツガガガ』2

『1518! イチゴーイチハチ!』(1)相田裕小学館BIG スピリッツ COMICS)★★★★★
 『ガンスリンガーガール』の著者による新作。同人誌『バーサスアンダースロー』の連載化です。三年前の少年野球であこがれた男の子は、怪我で野球をやめていた。先輩に誘われるまま生徒会に入った丸ちゃんは、野球をやめて無所属だった烏谷を生徒会に誘うのだった……。野球の話――ではなく、生徒会の話です。クールだったりお調子者だったりして性格のつかめない会長さんは、実はかなりのキレ者で、(勢いで烏谷くんにあてのない野球勝負を申し込んだりもしますが)、おそらく烏谷の負けん気を知って企画の何たるか(つまりはものごとの進め方や自分でものを考える力)を教えようとします。問題とその解決(アイス大作戦)という形を取って、生徒会というつまらなそうな組織を、わくわくするような魅力的なものに見せることに成功しています。第一巻の最終話となるだ第8話「目標をみつけた」。最後になって意味がわかる、いいタイトルでした。目標って当然あっちだと思うじゃないですか。なのにそっちだったとは――。
 

good!アフタヌーン』2015年5月号

「組木の洞」今井哲也
 蟲師外譚。今井哲也豊田徹也氏の作品を含む蟲師外譚集が4/23に発売されるそうです。光の河だ――。目を開けたら、まっ暗になった。少女が開けたのは蓄電池室の扉であり、外には地下道が広がっていた。私、どこから来たのかな……。 今井氏のキャッチーな絵で描かれた、現代日本蟲師の世界。地下鉄の地下通路(を模した空間)が棘の道との緩衝地帯にされているという設定です。こういうの、いいですね。何となく描くのではなく、現代日本蟲師が存在するとしたら――というのがちゃんと考えられています。魂の重さは21グラムという「科学」も蟲の世界に組み入れられていました。「虚繭取り」が元になっている話です。

「ヌードモデル」山口つばさ ★★★★★
 四季賞2014夏の佳作受賞作家による新作読み切り。 金欠中なのに賭けに負けたニコちんは、罰ゲームとして夏目とヤることに。夏目は能面のように無表情で、美大を目指していつも絵ばかり描いていた。ニコちんは夏目の家に押しかけ、無理矢理モデルをしはじめる……。 佳作作品のコメントでも目線を褒められていましたが、能面のような夏目さんの無表情な目つきが魅力的な作品です。ニコちんのヘラヘラ笑顔が対照的です。それだけに難しいと思うのは、夏目の笑顔でした。笑わない夏目が最後に笑顔を見せるところがポイントなのに、肝心の笑顔が魅力的かと問われるとビミョーな感じで。そうは思いつつも、男の裸をエロティックに描けるなど、画力のある人なのは確かです。
 

トクサツガガガ』(2)丹羽庭(BIG スピリッツ COMICS)
 増えた仲間(?)がレギュラー化してきました。吉田さん、任侠さん、ダミアンが登場。ついでに言えば敵(?)のチャラ彦も相変わらず。仲間候補(?)や追加戦士といった新展開もありました。吉田さんが本性を現しはじめ、ダミアンがお年頃です。トライガー(を演じているショー役者さん)の男っぷりなりきりっぷりが面白かったです。

    


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