「ハヤカワ文庫SF総解説 PART2 [501-1000]」
読みどころは、樺山三英による『鉄の夢』評「これは単にナチズムの諷刺に止まるものではない」「ナチズムの持つ荒唐無稽な世界像、英雄化への欲望、その裏に潜む差別と偏見、露骨な権力志向はまた、多くのSF作品が隠し持つ要素でもある。その意味で本書は、SFというジャンルに対する鋭い批評にもなっている」くらいでしょうか。あとは『ミュータント・タートルズ』ノヴェライズの日本語版は大森望による大幅加筆があるという打ち明け話とか。
「書評など」
◆映画『チャッピー』は、『第9地区』の監督による最新作。
◆小原慎司『地球戦争』が完結したそうです。
「NOVEL&SHORT STORY REVIEW」ミリタリー/鳴庭真人
リニューアルした海外短篇レビューのコーナー。第一回のテーマは「ミリタリー」。実在の夜間爆撃隊「夜の魔女」に本物の魔女が混じっていたら――というジュヌヴィエーヌ・ヴァレンタイン「血、灰、おさげ髪」(Blood, Ash, Braids)、「ハードボイルドな語り口と濃厚な暴力の気配に思わず引き込まれてしまう」ウェストン・オクセ「アメリカン・ゴーレム」(American Golem)は、どちらもアンソロジー『Operation Arcana』収録作。
「SFのある文学誌(40)進化論の詩学1 『猿乃裁判』と進化論的世界』長山靖生
「エンタメSF・ファンタジイの構造(13) グレッグ・イーガン小論――エンタメSF論からジャンルSFのジャンルSFたるゆえんを考える」飯野一史
「近代日本奇想小説史 大正・昭和篇(21)女性作家の奇想小説」横田順彌