『Nemuki+(ネムキプラス)』2015年5月号
「こくりまくり」オガツカヅオ
――俺にはうっすら予知能力がある。木目米《キメゴメ》さんから告られるのもわかっていた。「俺の好きなのは……霊の見える子だ」。7年後の今、約束通り霊が見えるようになったキメゴメさんから、ふたたび告られている。
「リャンちゃん」というある意味ぶっとんだ作品はあったものの、これまでのオガツカヅオ作品にはないギャグ調のキャラが新鮮でした。しかも最後はキッチリ輪を閉じて、霊の見える子という言葉がそうつながっているんですね。それまでのギャグが単なるおちゃらけではなく、せいいっぱい振る舞ってみせている明るさに見えてきます。
『淡島百景』1 志村貴子(太田出版)
宝塚を思わせる少女歌劇団「淡島歌劇学校」を舞台にしたオムニバス作品。志村作品のなかでは『放浪息子』『青い花』級の傑作になりそう。歴史が長く代々通っている生徒もいるだけに、時系列も幅広く、いじめと退校が描かれた第三話は一世代前の話になります(表紙は第三話の絵美ちゃん)。その第三話のなかだけでも時間があっちこっちに飛びますが、最後にあの絵を持ってくる構成にしびれます。これだけで見返すたび泣いてしまいそうです。第二話には『青い花』の上田良子さんが登場。この作品の最後のひとコマもいい絵です。第四話では桂子の意外なその後が明らかになりました。