『ナイトランド・クォータリー』vol.2 邪神魔境

 定期購読には「ないとらんど通信」vol.1がついてきました。「ホラーって何?」編集長インタビューと、vol.1の余談・反響など。もともとクトゥルーものが多すぎる傾向のある雑誌なのに、この号は特集がクトゥルー(その他)。トホホ。。。

「東學」 グラビア。絵の方は目が苦手ですが、裸体にクトゥルーはかっこいい。

「魔の図像学(2)C・D・フリードリヒ「雲海の上の旅人」(1818)」樋口ヒロユキ
 

「神の石塚」ロバート・E・ハワード中村融訳/藤原ヨウコウ画

 石塚は戦死者の碑などではなく、神が死んだときのものだった云々という話でした。
 

「狂気の氷原へ」ブライアン・M・サモンズ/植草昌実訳(A Biting Cold,Brian M. Sammons,2015)★★☆☆☆
 ――特殊部隊が救助だって? 南極ハミルトン基地の救難信号を受けて救助チームのもとに駆けつけたのは、特殊部隊のリンチ中尉ただ一人だった。基地に到着してみると、ずたずたに引き裂かれた人間の死体と、鳥の糞のようなものがあった。

 思わせぶりでチームには何も知らせないわりに、正体はただの巨大○○○○で、恐怖よりもグロ重視のスタイル、そしてさらに思わせぶりで終わります。
 

北極星間瀬純子

「ブックガイド クトゥルー神話世界の地図」

「熱砂の怪虫」デイヴィッド・コニアース/植草昌実訳(The Road to Afghanistan,David Conyers,2013)★★★★☆
 ――タリバンに誘拐された子供たちを救った国家安全保障局のピールは、部屋に戻ると拳銃を突きつけられた。「何を見た?」「ということは、あんたもトラックの荷物を知っているんだな?」それは爆弾を飲み込む巨大な蛆のような生き物だった。爆弾を食わせて敵地へ送れば、大量破壊兵器になる。

 けっこう真面目なスパイ小説に、もろクリーチャーが出てきて、しれっと話が進んでいくのが笑えます。そして笑えるけどしっかりシリアス。
 

「悪夢の卵」ジョシュ・リノールズ/牧原勝志訳(The Dreaming Dead,Josh Reynold,2011)★★☆☆☆
 ――王室付魔術師のチャールズ・セント・サイプリアンは、戦場で受けた傷が元で今も悪夢を見ていた。かつての部下ボビー・オグデン軍曹たちも同じ夢を見ていると聞いたチャールズは、「電気五芳星」を用意した。

 オカルト探偵カーナッキの死後、元助手が活躍する。という内容の作品です。
 

「呪われしパンペロ号」ウィリアム・ホープ・ホジスン/徳岡正肇訳
 

「ルルイエの黄昏」コンスタンティン・パラディアス/甲斐禎二訳(The Sinking City,Konstantin Paradias,2014)★★★☆☆
 ――私が船として乗っているその小さな「もの」は、四本の肢で海面を叩き続けている。(私の名はロバート・ベンディス。妻の名はデニス……)それは独りつぶやき続けている。ついにルルイエ上陸だ。遙かな高みに、クトゥルー城。

 これはこれで面白い。太古、の話なわけですね。とはいえ、恐怖の対象であるはずのクトゥルーが、ただの怪獣大集合になってしまっているきらいはありますが。
 

  


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