『ミステリー・ゾーン DVDコレクション』62・63(アシェット)

ミステリーゾーン』62「燈台」「時空を超えて」「さまよえる魂」「悪魔の方程式」

「燈台」(The Beacon,1985.12.6,ep026)★★★☆☆
 ――車が故障した医師デニスは、立入禁止の有刺鉄線を越えて近くの村の民家に泊めてもらう。するとその夜、突如として灯台の光が輝き、病気で寝ている娘を照らした。その家の息子によれば、灯台に照らされた者は死ぬ運命なのだという。司っているのはセスといい、逆らってはいけない。だがデニスは娘に薬を与えてしまう。

 排他的な村に存続する生贄の因襲と、それを守ろうとするまとめ役、盲信する村人たち、よかれと思って禁忌を犯してしまう部外者……型通りの作品で、型からまったく出ていないため新味はありませんが、安定した怖さがあります。
 

「時空を超えて」(One Life, Furnished in Early Poverty,1985.12.6,ep027)★★★☆☆
 ――作家のガスは少年時代を過ごしたオハイオに戻った。怒りが芽生えた場所へ。成功と孤独を作った場所へ。そこには親に折檻され、友だちにいじめられている、子ども時代の自分がいた。そのころ、みんなを見返してやると決めたのだった。見返すのに必死で、人生を楽しむこともできずに……。

 ハーラン・エリスン原作。思わせぶりでもったいぶっていたわりには、父との和解と幼い自分への助言という、王道で、怒りの原因が自分だったというのも定番でした。
 

「さまよえる魂」(Her Pilgrim Soul,1985.12.13,ep028)★★★☆☆
 ――ケビンが研究中のホログラムに、プログラムに組み込んでいない赤ん坊の姿が現れた。その夜、子どもを欲しい妻と研究に集中したいケビンは喧嘩してしまう。翌日、データを消して再起動したはずのホログラムに、今度は少女の姿が浮かび上がっていた。

 過去との交流という、あまたのSF・ファンタジーでもお馴染みであり、ミステリーゾーンでもいくつか先例のある現象がテーマとなっています。交流は交流でうまくいくのですが、1時間で10日間成長する……ということは、最後はどうなるのか――。そこに先の読めない楽しみがありました。もともと険悪だった夫婦関係から現実逃避しているケビンが夫婦関係の回復にいたるという展開が、ホログラムとの交流というストーリーとにあまりうまく活かされていないと思うのですが、ファンタジーに実生活のリアルを絡める傾向がもうこのころから始まっていたということなのでしょう。
 

「悪魔の方程式」(I of Newton,1985.12.23,ep029)★★☆☆☆
 ――難しい数式を解いている最中、つい「解けるなら魂を売ってもいい」と叫んだ教授の前に、悪魔が現れた。もしこのまま帰ってほしければ「おれの力の源について3つ質問をしろ。最後に命令を一つだけきく」と言った。

 う〜ん……62号はネタ切れ感が否めない号でした。これも悪魔との契約とそれから逃れる方法を模索するというコメディ。〈悪魔との契約もの〉自体を茶化したパロディみたいなもので、これだけ観ても、だから何なんだという感じですが。
 

ミステリーゾーン』63「クリスマス・ギフト」「コピー」「燃えつきた惑星」「現像」「こびとのはなし」「フォーチュン・クッキー

「クリスマス・ギフト」(Night of the Meek,1985.12.20,ep030)★★☆☆☆
 ――サンタクロース役のコーウィンは酒を飲んでヘマをしてしまい、仕事を馘首になり、デパートに来るような子はここでサンタと話さなくても家でプレゼントをもらえるのだから失望などしない、と捨てぜりふをはく。その夜、窓の外で子どもたちが歌を歌ってくれた。コーウィンのサンタの袋から何でも出てくるようになった。

 第2シリーズ(047)「弱き者の聖夜」のリメイク。一概にコーウィンが善人で経営者が悪人というわけでもないので、奇跡とかハッピーエンドとかいうよりもむしろ不快感が勝りました。
 

「コピー」(But Can She Type?,1985.12.20,ep031)★★☆☆☆
 ――秘書のカレンはクリスマスの日に残業してコピーを取るよう命じられた。故障しているコピー機の代わりに隣のコピー機を使ったところ……パーティで秘書と名乗った途端、参加者がいっせいに感嘆の眼差しを見せた。どうやらそのコピー機を使うと、別の世界と行き来できるようなのだ。

 この日の放送は、「クリスマス・ギフト」「コピー」「燃えつきた惑星」のどれもクリスマス・ストーリーなんですね。
 

「燃えつきた惑星」(The Star,1985.12.20,ep032)★★☆☆☆
 ――美しい宇宙の景色は、神の奇跡か偶然か、科学者と神父がクリスマスに議論をしていた。そんなとき、爆発で無傷の星から、未知の言語でメッセージが送られていることが発覚する。その星には文明の跡があった。

 アーサー・C・クラーク「星」原作。時期がクリスマスであるだけでなく、そのルーツにもSF的に触れた作品でした。
 

「現像」(Still Life,1986.1.3,ep033)★★★★☆
 ――写真家のダニエルが見つけた遺品のカメラには、貴重な先住民クレカイ族のフィルムが残されていた。だが70年前の調査に加わったという教授は、当時カメラマンが行方不明になったのだから写真など残されているはずがないという。改めて写真を見ると、クレカイ族の姿だけが消えていた。不安を感じたダニエルは家に急ぐ。

 ピーター・メダック監督。ゲリット・グレアム、クリス・ハッベル脚本。写真を写されると魂を奪われる。そんな迷信を信じる部族の存在のほうが真実だったら――。単純ながらなかなか怖い作品でした。
 

「こびとのはなし」(The Little People of Killany Woods,1986.1.3,ep034)★★★★☆
 ――パブに駆け込み酒をせびるオショーネシーは「こびとを見た」と得意げに話すのだった。だが失業中の客たちはそんな〈でたらめ〉を聞いて腹を立て、パブから追い出してしまう。だがオショーネシーは「本当に見たんだ」と言い張った。やがて金貨で買い物をするのが目撃される。

 J・D・フェゲルソン監督・脚本。オープニングの曲がわくわくする感じでよかったです。始まってからも早々に舞台喜劇のようなノリで、見ていて疲れないテンポのいいコメディでした。こびと自体が主役ではなく、こびとを見た酔っぱらいのドタバタで物語は進んでゆき、きっちり初めに戻ってオチになる、〈不思議〉に頼らないストーリーもよかったです。
 

フォーチュン・クッキー(The Misfortune Cookie,1986.1.3,ep035)★★★☆☆
 ――面白がって中華料理店の中傷記事を書いたハリーは、実際に店に行き、食べもせずに勘定を頼む。すると店主は特別なフォーチュン・クッキーを提供した。すると帰り道、くじの通りに「大きな褒美」が舞い込んだ。味を占めたハリーは中傷のせいで客が一人もいない店に行き、クッキーを頼む。

 エリオット・グールドほか出演。アラン・アーカシュ監督。スティーヴン・レイ脚本。くじの結果が実現するフォーチュン・クッキーですが、くじの内容が天意ではなく店主の思惑次第というのが引っかかります。最後の運命がどのように実現されるのか……その見せ方が上手でした。主人公と視聴者が同じタイミングで真実に気づけるようになっています。
 

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