『アフタヌーン』2016.3「奴のサナトロジー」井村朔早・「解形民」熊倉隆敏、『青空エール』19

アフタヌーン』2016年3月号

『フラジャイル』21「岸先生、最大の試練です!」草水敏・恵三朗
 医大生の前で講演を頼まれた宮崎先生。病理医勧誘のための毎年恒例の行事とのことだが……。人はどうして医者になるのか、どうして病理医になったのか、というお話。

げんしけん』120「魂紡ぎ」木尾士目
  荻上に発破をかけられて、波戸を追いかける斑目先輩。これまでは腐女(男)子が出てくるだけだったのに、ついにただのBL漫画に。。。

おおきく振りかぶって』127「田島の 6」ひぐちアサ
 田島家を訪れた野球部。名前を恥ずかしがる花井。篠岡と話せて舞い上がる水谷。アマチュア審判員の兄からルールを聞く部員。そして花井を意識する田島……。試合や練習から少し離れて、それでも野球や人間関係の詰め込まれた会でした。

マージナル・オペレーション』21「彼との再会」
 まるっきり忘れていたあのひと、登場。偶然ではないなら、どういう意図が?

『発症区』01「安田敦と暮井亜紀」いとまん
 ある日突然、ものを浮かせる超能力を手に入れた安井。命を狙われたところを、同じく能力者の暮井に助けられた。
 「発症警察」でデビューした四季賞出身者の新連載。同じ「発症」という設定を用いながら、まるで印象の違うストーリー漫画になっていました。失礼ながらストーリー展開のかなりの部分を編集部の意見が占めているんじゃないのかな?と思ってしまうくらい、印象が違います。作品自体は面白いのですが、この絵柄この画力でどこまでストーリー&バトル&アクションを描けるか――だと思います。

ヴィンランド・サガ』124「ノルウェー出立」幸村誠
 ヒルドを加えて、カルリも連れたまま旅を再開させたトルフィンたち。一方そのころシグルドたちは……。めぐりめぐって海賊の話に……?

「解形民(かいけいみん)」熊倉隆敏 ★★★★☆
 ――術じゃあねェ。落頭民という似た種族も居るけれど、少し違う。解形の民といって、両手も抜ける。化け物あつかいされて行き場をなくしていた黄玄風は、裏社会の顔役・朱に見出されてスパイや暗殺に居場所を見つけた。

 『もっけ』『ネクログ』の熊倉隆敏による新作読み切り。『酉陽雑俎』の記述に材を採り、民国初期の裏社会を舞台に、孤独だった男がようやく見つけた心の拠り所と、それを奪われてしまった顛末を描く、一昔前のハードボイルドテイストの作品でした。
 

「奴のサナトロジー」井村朔早 ★★★★☆
 ――箕田が死んだ。事故死だそうです。――いじめられ、日々をただ生きていた高橋は、不良の箕田に声をかけられた。その日から高橋は変わった。だが母親は変わった高橋のことを嘆き、箕田は学校を退学する。

 四季大賞受賞作。いじめられていたころには周りの人間が人間には見えないという表現技法、つねに死を身近に感じていた人間を通して変わった主人公の成長――どちらも下手な人が描けば陳腐でしかないところを、いずれも突き抜けた表現力で、読む者の目を惹きつけます。こういうのをたぶん、絵が上手いんでもなく話作りが上手いんでもなく、漫画が上手いというんだろうな。
 

青空エール』19 河原和音集英社マーガレット・コミックス)
 最終巻。全国大会めざして練習を重ねるつばさたち。そして引退。新入生が入ってきたあたりから急激につまらなくなってきていた本作品ですが、最終巻も特に目覚ましい展開があるわけでもなく無難に終わってしまいました。「私 かわいそうじゃないです……」の頃は感動したのに。結局まるちゃん(高橋さん)の本名は不明のままでした。

   


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