『good!アフタヌーン』2016年5月号「シルエット」桑谷龍

「シルエット」桑谷龍
 ――いくら可愛くても振られることはある。美也の彼氏荒井はドライヤーの音が苦手だった。幼い頃に母親がドライヤーをかけて出かける記憶のせいだ。そんな荒井から、髪を切れないのなら別れてくれと言われた……。

 四季賞出身者による読み切り作品。扉のカット絵の予告から、てっきりお坊さんが出てくる時代漫画かと思っていたのですが、ただの坊主頭でした(^^;。ドラマチックでも何でもないことをドラマチックに飾り立てるうるさいフィクションのいかに多いことか。その点この作品は、自分たちの問題が特別なことではないこと、にちゃんと自覚的です。クロースアップなどカメラアイの移動も、かなり頻繁なのにうるさくなく、読んでいて自然に引き込まれました。次回作も読みたい作家さんです。
 

「リメインバッド(中編)」中川貴賀
 ――容疑者のアリバイは間違いのないものだった。そのころ土生は被害者である渡夫人の友人から、渡警部補の芳しくない噂を聞く。一方、渡班が確保予定だった容疑者宅には岳堂班が踏み込んでいた。

 前中後の三部ということで、早くも事件の核心は明らかにされてしまいました。このあとどう転がるのか、これ以上のどんでん返しはないのか、次号で完結です。
 

巨娘
 ポン子の反抗期の話です。家族からも駄目な子扱いされ、後輩の目の前で駄目出しされ、すねてブッチしたポン子さんでした。バイトのFさんが『神戸在住』のキャラみたいでちょっと懐かしい。ポン子は実は意外とかわいいという説明に賛同してくれる人もいる、という話のあとで「前回出演の、クラウド末森sなが、実はハリウッド俳優のジェレミー・レナー似という自説に賛同してくれる人は、今のところ一人もいません」とオチをつける作者近況

  


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