『Nemuki+ ネムキプラス』2016年5月号

『未知庵のきなこ体操』「入れ歯」未知庵
 はぐれてしまった入れ歯を探してくれ……その時点で充分にシュールなのですが、入れ歯が無事に見つかってからの展開はもはや神がかっていました。オチの一言のインパクトがたまりません。

『こんな私がスリランカでゲストハウス!?』東條さち子
 いよいよ家を建てるところまでたどり着きましたが……やっぱり不安です。

「死んでください」瓦屋根
 ――生きる気力をなくしていた男の前に、だったら生贄として死んで欲しいという宗教少女が現れた。望み通り生贄になろうとした男だったが……。

 ありきたりのちょっといい話ふうからの突然の恐怖。安っぽいけど見せ方がうまいので印象的です。
 

『ことなかれ』02「立ち枯れ」オガツカヅオ画/星野茂樹原作
 ――幼い子どもが車に轢かれて死んだ現場で、幽霊の噂が広がっていた。現場は事故が多発していた。ことなかれ課は今回の事件は理論的なリン太に向いていると考えた。調査を開始したりんたはさじに、事故と幽霊に直接の因果関係はないと説明する。

 りんたとさじ、ほんとうに久しぶりの登場です。これまで怪異を相手にしてきたりんたが、人間を相手にすることによって、理論では割り切れない心という事実に直面してしまいます。原作付きですが細かい部分はオガツカヅオ氏が作っているのか、原作者がよほどオガツカヅオ作品を研究しているのか、特に最後のページの美しくシンプルな怖さはまぎれもないオガツカヅオ印でした。子どもが車に轢かれた描写が、直接的な描写はないのにエグくてリアルです。
 

『伊集院月丸の残念な霊能稼業』「伊集院星丸の奇妙な冒険」魚住かおる
 ――みちるにかまってもらえないので退屈な武衛は、渋柿ババアのところに遊びに行く。死んだ爺さんに会いたいと洩らすババアに、武衛とムッシュ・エロひげは魔魅洞を通って爺さんを連れて来ようとする。

 今回はほぼ武衛とエロひげしか登場しないので、いつもとはかなり雰囲気が違っていて、妙なテンションとテンポのよさがありました。
 

  


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