『ミステリー・ゾーン DVDコレクション』74・75(アシェット)

ミステリーゾーン』74「地球再生」「恋をしたふたり」「追憶の中の君と」

「地球再生」(Voices in the Earth,1987.7.10,ep078)★★☆☆☆
 ――かつて青かった「地球」を調査に来たドナルド教授は、廃墟のなかで不思議な人影を見る。人類はかつて地球を捨てて新天地へ旅立ったのだった。宇宙船に戻った教授の前に、ふたたびあの人影が現れる。かつて見捨てられたその人影たちは、地球にはまだ生命がいると訴える。

 マーティン・バルサム主演。オゾン層破壊ってこの頃から言われていたんですね。亡霊たちとの対話の時点では説教臭い話になるのかと危惧していましたが、単純な文明批判にはなっていない、お互いに人のせいにするのではなく建設的にものごとを考えるところに繋げる展開には感心しました。
 

「恋をしたふたり」(Song of the Younger World,1987.7.17,ep079)☆☆☆☆☆
 ――更生施設で働くタナーは、施設長の娘エイミーと恋に落ちていた。だが密会の現場を目撃した施設長から、二人は仲を引き裂かれてしまう。エイミーが言うには、家にある世界最古の書物には、魂を解き放って別の時代に生まれ変わる方法が書いてあるという。だがエイミーが試している最中、父親に邪魔されてしまう。

 いや……あの現場なら父親が怒るのも仕方ない気が……。今日明日別れるわけでもないのに、わざわざ危険を冒す二人も意味不明。二人の境遇が「許されない恋」という設定のための設定でしかない。途中で「ロミオとジュリエット」をなぞっているのかと思ったら、そうでもない。支離滅裂です。この話の脚本家はプロデューサーでもあるそうですから、職権濫用でしょうね。
 

「追憶の中の君と」(The Girl I Married,1987.7.17,ep080)★☆☆☆☆
 ――弁護士のアイラは妻のヴァレリーの写真を見ながら昔を懐かしんでいた。翌日、その写真そのままの姿の女性を見かける。喜んだのも束の間、もはやかつての自分ではないことを嘆くアイラを見て、若き頃のヴァレリーは幻滅して消えてしまう。

 第2シーズン最終話。アイラが若い頃のヴァレリーと遊び歩くシーンはダラダラと長いだけでしたし、全体的に冗長でした。現在の年取った二人の方がいい女といい男なのは内容からすれば当然でしょうか。
 

ミステリーゾーン』75「猿の大群」「テレビタレント」「盲目のシンガー」「悪魔との契約」

「猿の大群」(Many Many Monkeys,1989.3.18,ep106)★★★☆☆
 ――失明したと言って病院にやって来た老婆の目は白く濁っていた。やがて原因不明の失明患者がぞくぞくと押し寄せて来た。患者の一人リード夫人は、こうなったのは私たちが猿だからだ、つらいことから目を背けて来たからだ、と言うのだった。

 第3シーズンはなぜか第26話から。どうやら日本未放映の作品からDVD化した模様。第3シーズンは制作が全2シーズンとはまったく別のところみたいですね。この「猿の大群」はオリジナルシリーズで使われるはずだったがお蔵入りになった脚本だそうです。ものを見ようとしない目なら必要ない……寓意的な作品でした。
 

「テレビタレント」(Special Service,1989.4.8,ep109)★★★☆☆
 ――ジョン・セリグが髭を剃っていると鏡が落ちて、後ろからカメラが見つかった。するとどこからともなく作業員が現れ、鏡を直して帰ろうとした。実はジョンが主役のテレビ番組が作られていて、高視聴率なのだという。ジョンがカメラをはずし始めると、警告の電話がかかって来た。

 第29話。後の映画『トゥルーマン・ショー』と同じアイデアが用いられています。事なかれ主義や無関心を描いた「猿の大群」に続いて、素人をスターにするマスコミを描いたこの「テレビタレント」と、現代に通じる作品を二作つづけたのでしょうか。
 

「盲目のシンガー」(Love is Blind,1989.3.25,ep107)★★★☆☆
 ――トラック運転手のジャックは、妻と男の密会現場を押さえようと酒場を訪れた。そこで盲目のシンガーが歌っている内容は、まるでジャックのことを歌ってるかのようだった。歌手はジャックに話しかけ、悪事を働こうとしている人間がいると曲が浮かぶのだと言った。

 第27話。「盲目」を掛けているんですね。壊れかけた恋人の心を嗅ぎつけてアドバイスをする盲目のシンガーに、アガサ・クリスティの探偵ハーリー・クィンを連想しました。今のところ、第3シリーズはメリハリがあまり感じられません。
 

「悪魔との契約」(Crazy As A Soup Sandwich,1989.4.1,ep108)★★☆☆☆
 ――悪魔に追われたアーキーは、莫大な借金をしているニノに助けを求めた。魂の半分と引き替えに競馬で大儲けするはずだったが、悪魔に騙されたと言う。退屈していたニノは、その話に興味を持った。

 ハーラン・エリスン脚本。意外なことに悪魔との取引をするのが悪人だというのが新鮮でした。これまでは愚か者か小悪党が多かったですから。ところが機知で戦うのではなく、ゴーストハントものでした。いえ、オチから言えば、身内の喧嘩……?
 

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